当時、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は、停戦交渉に将来臨むことになった場合に、クルスク州の占領地を取引材料することをなお望んでいた。「ある領土を別の領土と交換する」意向をインタビューで示した。
米国とのあつれき
だが、ロシア寄りのドナルド・トランプ米政権はロシアとの最初の協議からウクライナの代表を排除し、ゼレンスキーの立場を弱めた。
さらに2月28日、トランプとJ・D・バンス米副大統領は、ホワイトハウスの大統領執務室でゼレンスキーに激しい非難を浴びせた。米国によるこれまでの援助に対する感謝が不十分だという奇妙な非難だった。この援助はそもそもジョー・バイデン前政権が約束したものであり、バンスは前職の上院議員時代にそれに反対票を投じていた。
大統領執務室での衝突のあと、トランプは米国によるウクライナへの軍事援助をすべて停止した。トランプが両国間の情報共有も止めたことも明らかになった。
一方、ロシア軍は最近、クルスク州に「ルビコン」先進無人技術センターの精鋭ドローンチームを投入していた。パーペチュアは「ルビコンは高度なドローン戦術を駆使している」と説明している。このチームが運用するFPV(一人称視点)自爆ドローンは、ウクライナ側のジャミング(電波妨害)をかいくぐって飛んでいるようだ。
ウクライナ軍のオレクサンドル・シルスキー総司令官は10日の声明で「現在、クルスク州でわれわれの部隊に包囲の脅威はない」と言明した。ただ、シルスキーはウクライナ軍がクルスク州にとどまるとは約束しなかった。代わりに「部隊は有利な防御線への機動を行うための措置を適時講じていく」と述べた。
これは、ウクライナ軍部隊はクルスク州から撤収し、ゼレンスキーが有利な停戦に向けて交換材料にすることを望んでいた土地の大半を放棄すると、暗に言っているのかもしれない。