フェイスブック創立当初、マーク・ザッカーバーグはジーンズにパーカーにビーチサンダルを合わせるリラックスしたスタイルで知られていた。このたび、彼がフェイスブック創業初期に着用していたパーカーがオークションで15875ドルで落札され、「1000ドルから2000ドルだった推定価格」を大きく上回った。
裏地には創立時の思想が
このオークションは、「ジュリアンズ・オークションズ」(カリフォルニア州ビバリーヒルズに拠点を置く非公開オークションハウス)の「スポットライト:歴史とテクノロジー」と題されたイベントで行われた。ザッカーバーグは、2010年代前半頃のフェイスブックのミッションだった「世界をオープンにし、つなげる(“Making the world open and connected”)」のロゴ入りの黒いパーカーを着用していた。
パーカーの内側には、「グラフ」「プラットフォーム」「ストリーム」と書かれた3つの矢印が「2010年」を囲んでいるという、きわめてシンボリックなデザインが施されている。「2010年」はもちろん、ザッカーバーグが「タイム」誌の「パーソン・オブ・ザ・イヤー」を受賞し、彼をモデルにした映画『ソーシャル・ネットワーク』が公開された年だ。

「冷や汗」の跡はなく——
2010年、カーラ・スウィッシャーとのインタビューでザッカーバーグが着ていたパーカーは、その時のものと思われる。彼はインタビュー中、フェイスブックのプライバシーポリシーについて話していた時、緊張をしてしまい汗をかいたようだ(スウィッシャーはインタビュー中、実際にこのパーカーの裏地を見たと語っている)。
このパーカーを所有していたマット・トンプソンは当時自身がIT担当として働いていたテキサスの「Huckabay ISD」20周年記念の一環としてフェイスブック・マーケットプレース(Facebookのユーザーが個人間で不用品や車、不動産などを売買できるオンライン市場)から得たものだ。トンプソンは、スポンサーしているeスポーツチームを始めとした自分の学校の課外活動を援助するため、このパーカーをオークションに出した。「洗濯をしたように綺麗な」パーカーを手にした際に彼は、「汗のシミもない、良かった」と感謝していた。
ザッカーバーグの衣服についてはもう当メディアは取り上げている。昨年、ザッカーバーグがチャリティーオークションに寄付した金メッキのチェーンは、買い手から40500ドルの値をつけられた。このパーカーがオークションで得た高値は、シリコンバレーの歴史がいかに様々な人々を魅了し続けているかを示すと同時に、日用品が重要な文化財に変貌する可能性を示している。
※本稿は英国のテクノロジー特化メディア「Wonderfulengineering.com」2025年3月3日の記事から翻訳転載したものである)