多くの経済データが、米国の景気後退が間近に迫っていることを示唆している。
ドナルド・トランプ大統領がカナダ、中国、メキシコに課した関税とそれに続く報復の波が、差し迫った景気の減速、もしくは景気後退の主な要因になるとされている。さらに、連邦政府職員の無秩序な解雇は、失業率の上昇と職を失った人々による支出の引き締めにつながるだろう。さらに、不法移民の強制送還とその恐怖は、建設業、農業、接客業、養鶏業、その他のスモールビジネスなど、いくつかの重要な経済セクターに大きな不安を引き起こしている。
米国時間3月3日、国内総生産(GDP)水準を示すモデルとして注目されるアトランタ連邦準備銀行のGDPNowは、今四半期におけるGDP(年率換算)が2.8%減少するとの予測を示した。これは、先週発表された2.3%増という数字とは対照的だ。遅行指標である四半期ごとのGDPの発表とは異なり、GDPNowは、測定可能な今四半期の経済データに基づき、連邦準備制度理事会(FRB)が実質GDP成長率を推計したものである。
他の最新データや調査も、同様の兆候を示している。
・消費者信頼感指数は2月に7.0ポイント低下し98.3となった
・購買担当者景気指数は50.3%で、1月の50.9%から0.6ポイント低下した
・米国の小売売上高は1%近く減少し、エコノミストが予想した減少率を大幅に上回った
・CNNが報じたところによると、個人消費の中心であるウォルマートは、最新の決算で2025年度の業績が鈍化するとの見通しを発表した。加えて、CNNによれば、他の小売大手であるターゲットとベストバイも、関税が個人消費と企業利益に与える影響を懸念していると発表した
・1月は雇用の伸びが鈍化した。新規雇用者数は11月と12月を大幅に下回った
・財務コンサルティング会社のThe CFOは、米国の倒産件数が過去14年間で最高の水準にあると発表した
・Globestのレポートによると、住宅ローンへのエクスポージャーが比較的高いコミュニティバンク(米国における、比較的小規模で地域に根ざした金融機関)は、12年ぶりの高水準となる61億ドル(約9100億円)の延滞に見舞われた