さらに長門湯本温泉は萩焼の名門窯、第十六代坂倉新兵衛さんに、湯道具を依頼。制作されたのは湯壺。新年の最初のお湯を、その湯壺に入れて大寧寺に納める「献湯式」を今年始めるのだそうだ。
であるなら、と、僕は町の皆さんに提案をした。京都・祇園祭のお稚児さんのように、最初の湯を汲んで壺に入れる人を、子どもに設定し、その子どもを毎年選出する。そうすれば100年後に祭りとしても価値あるものになるのではないかと。
湯道を始めたとき、僕は日常における幸福度が上がるのではないかと思った。「気持ちいい」と感じるだけでなく、入るたびにさまざまな感謝の念が湧いてくるお風呂。それを、ほかの人にも味わってほしい、そういう発想になってほしいと純粋に思って始めた。それがいま、こうして形になってとても嬉しい。
今月の一皿

節分に恵方を向いて食べると良いとされる縁起物「恵方巻」を、料理人ゴローがblank流にアレンジ。
blank

都内某所、50人限定の会員制ビストロ「blank」。筆者にとっては「緩いジェントルマンズクラブ」のような、気が置けない仲間と集まる秘密基地。
小山薫堂◎1964年、熊本県生まれ。京都芸術大学副学長。放送作家・脚本家として『世界遺産』『料理の鉄人』『おくりびと』などを手がける。熊本県や京都市など地方創生の企画にも携わり、2025年大阪・関西万博ではテーマ事業プロデューサーを務める。