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サイエンス

2025.02.25 09:30

風に乗って鳥インフルエンザ感染が拡大か、チェコの事例研究

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アウトブレイク対策への影響

この研究から得られた知見は、高病原性鳥インフルエンザのアウトブレイクへの対応とバイオセキュリティー対策において大きな意味をもつ。従来、鳥インフルエンザにおける空気感染の主要なリスク因子は、殺処分中に発生する粉塵のみだと考えられてきた。しかし、粉塵の粒子は重く、長く空気中を漂うことなくアウトブレイク発生現場の近くに沈降する傾向があることから、今回の研究結果は、感染した家禽の群れを発生源とするエアロゾルがウイルスの重要な「運び屋」となる可能性を示唆している。

感染動態に関する新たな見解が提示されたことを受け、養鶏場や動物衛生当局は、これまでの直接接触と汚染を重視したバイオセキュリティー対策が適切かどうかを検討すべきである。空気感染対策を考慮に入れる必要もあるかもしれない。

さらに、トンネル換気システムを備えた養鶏場については、複数の養鶏場が近接している地域では特に、空気感染によるウイルスの拡散を最小限に抑えるため追加的な空気ろ過・浄化設備を設けるべきか、さらなる研究を通じて判断する必要がある。

結論

今回の研究では、風媒感染に関して遺伝学的・気象学的に強力な証拠が得られたが、空気サンプリング研究には限界がある。微小濃度のウイルス粒子を長距離にわたって検出するのは困難だ。いくつかの研究でウイルスが検出されなかったからといって、必ずしも風によって感染が拡大する可能性が除外されるわけではなく、家禽の飼育環境におけるウイルス伝播の空気力学について継続的な研究を行っていく必要性が浮き彫りになった。一方で、バイオセキュリティー対策のとられた施設にウイルスが入り込んだ事例において、空気感染が原因だった可能性がないか再検討してみる価値があるだろう。

この研究はH5N1型鳥インフルエンザ感染に対する理解を再構築し、風を媒介にした感染拡大がこれまで認識されていたよりも大きな役割を果たしているとの確固たる証拠を提示した。トンネル換気システムと風の条件が果たした役割を指摘することで、研究チームは空気感染対策を強化する必要性を強調している。

forbes.com原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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