トランプ大統領は、今月初めにこのプロジェクトに不満を示し、「数千億ドルのコスト超過がある」と主張した。しかし、全長約640キロメートルの高速鉄道網のために用意された総予算は約1000億ドル(約15兆円)とされ、そのうち157億ドル(約2兆3600億円)がすでに使われたが、連邦政府が投入した資金は30億ドル(約4500億円)のみだ。それでも、新たに運輸長官に就任したショーン・ダフィーは、当初の見積もりの約330億ドル(約4兆9600億円)から急増した建設コストと、完成時期が不透明であることを理由に、この計画が「米国の納税者にとって適切な投資とは言えない」と主張した。
「私は運輸長官としての権限を行使し、連邦鉄道局(FRA)に対し、カリフォルニア高速鉄道庁への資金提供の適正性を調査するよう指示する。この調査を通じて、数十億ドルの納税者の資金をカリフォルニア高速鉄道計画に引き続き投入するべきかどうかを判断する」とダフィーは、ロサンゼルス中心部のユニオンステーションでの記者会見で語った。
この鉄道の開業予定は2030年代前半とされているが、サンフランシスコやロサンゼルスへの延伸については、少なくとも700億ドル(約10兆5200億円)の追加資金を確保する必要があり、具体的な完成時期は不明だ。
ダフィーとトランプがカリフォルニア州の高速鉄道計画に否定的な姿勢を示す一方で、ビリオネアのウェス・イーデンスが主導する120億ドル(約1兆8000億円)規模の「ブライトライン・ウエスト」高速鉄道計画は、引き続き新政権の支持を受けているようだ。この計画は、ラスベガスとロサンゼルス郊外を結ぶ路線の建設を目指すもので、30億ドル(約4500億円)の連邦補助金を受けることが決まっている。
ダフィーは、ブライトライン・ウエストの高速鉄道が「投資に値するプロジェクトのように見える」と述べた一方で、「カリフォルニア州の高速鉄道計画は、仮に完成したとしても、ロサンゼルスからサンフランシスコまでの400マイルを結ぶのに少なくとも1060億ドル(約16兆円)かかると言われている。だが、大半の人はこの見積もりが甘いと考えている。1060億ドルで済むはずがない」と語った。
ダフィーが発言を終えると、記者会見が行われた駅の周辺に数十人の抗議者が集まり、カリフォルニア州の高速鉄道計画を支持するプラカードを掲げるとともに、トランプ、イーロン・マスク、ダフィーに対する抗議のスローガンを叫んだ。
一方で奇しくも、同じ日にカナダのジャスティン・トルドー首相は、トロント、オタワ、モントリオール、ケベックシティを結ぶ高速鉄道の建設に向け、カナダ政府が27億ドル(約4000億円)を提供する意向であることを発表した。
(forbes.com 原文)