この調達は、カリフォルニア州とネバダ州が発行するインフラ債を用いたもので、昨年バイデン政権から受け取った30億ドル(約4400億円)の助成金に加わる形となる。マイアミを拠点とするブライトラインの建設プロジェクトは、ラスベガスで昨年4月に開始されたが、現状ではモハーヴェ砂漠周辺の準備作業に留まっている。
フロリダ州で米国唯一の民間旅客鉄道を運営する同社は、投資家向けの資料で2031年までに少なくとも14億ドル(約2200億円)の収益と860万人の乗客を見込んでいると述べている。
「今年中には本格的な建設が開始される予定だ」と、同社のコーポレートアフェアーズ担当シニアバイスプレジデント、ベン・ポリットはフォーブスに語った。建設は、ネバダ州とカリフォルニア州の4カ所で同時に開始される見通しという。
ブライトラインは、連邦助成金や追加のインフラ債、銀行融資などと今回の資金を組み合わせ、総額124億ドル(約1兆9000億円)とされるプロジェクト全体の費用を賄う予定だ。この鉄道は、ラスベガスからロサンゼルス東部のランチョクカモンガを結ぶ予定で、途中には砂漠地帯にあるビクター・バレーとヘスペリアという2つの都市に停車駅が設けられる。ブライトラインは当初、2028年のロス五輪の開会式までに運行開始を目指していたが、現在の目標は同年の12月に変更されている。
このプロジェクトは、フォートレス・インベストメント・グループの共同創業者で30億ドル(約4700億円)の資産を持つイーデンスの野心的な取り組みで、米国に高速鉄道を本格導入する画期的なプロジェクトとなる可能性がある。ブライトラインの列車は最高時速320キロメートル以上で運行し、ボストンからワシントンD.C.間を最高時速240キロメートルで結ぶアムトラックの高速列車、アセラの速度を大幅に上回る。
ブライトラインのプロジェクトの建設コストは、カリフォルニア州が1000億ドル(約15兆6000億円)以上を投じて進める、サンフランシスコとロサンゼルス(アナハイム)間の800キロメートルを結ぶ高速鉄道のコストを大幅に下回る見通しだ。これは、ブライトラインの路線がより短いルートであることに加え、数十年前のインフラを再利用するためだ。また、州間高速道路15号線の中央を走る設計によって、高架橋の建設が不要となる。
同社は、この新たな鉄道でラスベガスとロサンゼルス郊外の間を、自動車を用いた場合の所要時間の半分の約2時間で結ぼうとしている。ブライトラインが発行する債券の販売は、モルガン・スタンレーが主導するとされている。
(forbes.com 原文)