テクノロジー

2025.01.16 13:00

ロス山火事支援でも活躍、グーグル親会社の最新「画像解析システム」

カリフォルニア州パシフィック・パリセーズ(2025年1月14日撮影)Photo by Justin Sullivan/Getty Images

カリフォルニア州パシフィック・パリセーズ(2025年1月14日撮影)Photo by Justin Sullivan/Getty Images

グーグルの親会社、アルファベットの研究部門であるX(エックス)は、「ムーンショット」と呼ばれる取り組みで、さまざまな課題に対する革新的なソリューションを生み出してきた。同部門が開発した技術は、1月初旬に発生した米ロサンゼルスの大規模な山火事でも利用が開始された。

今回のような大規模な災害では、ドローンや航空機が被災地の上空から膨大な数の写真を撮影する。これらの写真は、どの建物やインフラが被害を受けたかを特定するための手がかりとなるが、そうした写真には正確な位置情報が含まれていない場合が多い。

空撮写真に位置情報を手作業でタグ付けする作業には、膨大な時間が必要だ。このタスクの自動化は困難であり、写真がさまざまな角度や高度から撮影されていることが、このタスクをさらに複雑にしている。

しかし、このような技術的ブレークスルーが求められる課題こそが、Xが取り組もうとしているものだと言える。同部門は、2020年に立ち上げた「Bellwether(ベルウェザー)」と呼ばれるプロジェクトを、「史上初の地球のあらゆる事象の予測エンジン」として位置づけ、被災地の支援に役立てようとしている。

設立当初からBellwetherを率いてきたサラ・ラッセルは、「私たちが、この取り組みを開始したのは、もしもこれらの課題を解決できれば、自然災害への対応に要する時間を大幅に削減し、より多くの命を救えると確信したからだ」と述べている。

彼女のチームが生み出した画期的なソリューションは、実際の火災現場の写真を人工知能(AI)で生成した画像のデータベースと照合することで、現場の正確な位置や建物を特定するというものだ。この取り組みには、GoogleアースやGoogleマップの基盤となる地理空間データが利用されている。

設立からわずか数年のBellwetherが生み出したこのソリューションは、既に災害対応にあたる各州のナショナルガード(州兵)や、その他の組織に利用されており、今回の山火事を空から撮影した写真の分析でも利用が始まった。

カリフォルニア州の災害対応チームは、BellwetherのAIシステムを用いて、被害が大きい地域を迅速に把握し、崩壊した橋や建物の正確な位置を割り出している。
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編集=上田裕資

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