このイベントには、テンセントの共同創業者馬化騰(ポニー・マー)や、アリババの共同創業者のジャック・マー、BYDの共同創業者の王伝福、シャオミの創業者の雷軍(レイ・ジュン)、ファーウェイ創業者の任正非らが出席した。また、人工知能(AI)関連のスタートアップのDeepSeek(ディープシーク)の創業者の梁文峰(リャン・ウェンフォン)の姿もあったと報じられている。
「中国経済が依然として不確実性に直面する中、民間セクターの企業は極めて重要な役割を担っている。政府がこれらの企業を招いて会合の場を持つことは、彼らに対する前向きなメッセージといえる」と、北京の投資銀行Chanson & Co.のシェン・モンはコメントした。
習主席がこのような会合を開いたのは、およそ6年ぶりのことで、当時はドナルド・トランプ大統領の1期目の政権下で中国経済が大きなリスクに直面していた。しかし、米中の両国は今、AIや半導体などの先端技術分野でも対立を深め、これらの分野の覇権を競い合っている。
米国は、中国へのAIや半導体関連のテクノロジーの輸出を広範囲に制限しているが、その効果は限定的だ。DeepSeekが1月に発表したAIモデルの性能は、シリコンバレーを驚かせ、エヌビディアをはじめとする米国のハイテク大手の時価総額を約1兆ドル(約152兆円)も消失させた。
また、アリババも最新のAIモデル「Qwen」の性能が特定の分野でDeepSeekやOpenAIのモデルを上回る可能性があると発表した。テンセントもDeepSeekのAIモデルをWeChatに統合するテストを開始しており、検索やレコメンデーション機能を強化したAIスーパーアプリの実現が期待されている。
「中国の民間セクターは、今後の中国経済の発展を担っている」と上海の調査会社Hutong Researchの創業パートナーのフォン・チューチェンは指摘した。彼はまた、「今回の会合の目的の1つは、国内のイノベーションを強化し、経済回復を支援すること」だと説明した。
今回の習主席の民間企業への支援の表明は、かつての姿勢からの劇的な転換を意味する。アリババのジャック・マーが2020年に中国の金融規制システムを批判した後、北京の金融当局は、マーが設立したフィンテック企業アントグループの新規株式公開(IPO)を事実上停止させた。中国政府はさらに、ハイテク業界全体に対する規制を強化し、オンラインゲームが若者の依存を助長しているとしてゲームのライセンスの発行を一時停止するなどの措置を講じた。
マーはその後、表舞台からほぼ姿を消していたが、昨年から徐々に姿を現すようになった。アリババは先週、アップルとの提携で中国のiPhoneユーザー向けにAIサービスを提供すると発表した。アナリストは、この提携がアリババのAIモデルにより多くのユーザーを引き寄せることにつなると述べている。
(forbes.com 原文)