イベントでマスクは、アラブ首長国連邦(UAE)のオマール・アル・オラマ人工知能(AI)担当大臣とともに、自身が率いるトンネル掘削企業「ザ・ボーリング・カンパニー」がドバイで地下ループを建設すると発表した。「このトンネルは、ドバイで最も人口密度の高い地域をカバーし、人々の移動をシームレスにする」と同大臣は語った。
マスクはまた、13日にインドのモディ首相と会談し、宇宙開発やモビリティ、テクノロジーなどの彼の事業と密接に関連する分野について話し合った。彼が率いるStarlink(スターリンク)は、インドの14億人にインターネット接続を提供するための承認を求めている。
世界一の富豪であるマスクは、トランプ政権における事実上のナンバー2として、米国の政策や外交に影響を与える立場にある。世界でビジネスを運営する彼は、この地位を利用して自身の会社に利益を誘導できる一方で、海外の指導者たちは、マスクの企業を支援することでトランプの機嫌がとれる。
マスクの事業は世界中に広がっている。テスラはすでに500万台の車両を世界で走らせており、51カ国で6万カ所以上の充電ステーションを展開している。上海とベルリンにギガファクトリーを設けたテスラは、メキシコにも新工場を建設する計画だ。さらに、マスクが率いるスペースXのスターリンクは、100カ国以上の国や地域でサービスを提供している。また、彼が運営するX(旧ツイッター)は、世界で4億1500万人のユーザーを抱えているが、マスクは特定の意見をアルゴリズムによって優遇する権限を持っている。
「マスクは史上最大となる公的汚職を現在進行中で起こしている」
「イーロン・マスクは、史上最大となる公的汚職を現在進行中で起こしている」と民主党のリチャード・ブルーメンソール上院議員はフォーブスにコメントした。「彼は、世界の首脳と個人的なビジネス会談を開き、自身の企業の取引先の政府機関を管理し、自らを有利にする政府のデータを掌握している。マスクが公職の立場を利用して、富を増やすことは許されるべきではない」と同議員は主張している。
マスクはまた、密かに海外への投資を行っている可能性がある。彼は、過去のテスラ株の売却によって約95億ドル(約1兆4400億円)のキャッシュを得ているが、その一部を海外企業の株式や持ち分に回した可能性がある。政府の特別職員である彼は、ホワイトハウスに対して機密扱いの財務開示書を提出する義務があるものの、その内容が公になる可能性は低い。13日に利益相反の疑いについて問われたマスクは、「自分で自分を監視する」と説明した。
外国の指導者との会談は、マスクのような規模で世界的な事業を展開するビジネスマンにとって、珍しいものではない。彼は、上海にテスラのギガファクトリーを建設するための許可を得るために、何年にもわたって李強首相を含む中国政府の要人と交渉を重ねてきた。また、CNNによれば、トランプの勝利までの3年間に、マスクは少なくとも13カ国の政治家と会談していた。