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北米

2025.02.18 08:00

イーロン・マスクの独自外交がはらむ問題、多くの国で「利益誘導」する懸念

2025年2月13日、イーロン・マスクは米国ワシントンD.C.でインドのナレンドラ・モディ首相と会談した。(Press Information Bureau / Handout/Anadolu via Getty Images)

しかし、いくつかの会談は異例といえるものだった。ウォール・ストリート・ジャーナルは昨年10月、マスクが2022年以降にロシアのプーチン大統領と断続的に連絡を取っていたと報じた。また、マスクはウクライナにスターリンクの端末を提供した一方で、ウクライナ軍が計画した奇襲攻撃が戦争を不必要にエスカレートさせると考えたため、アクセスを遮断するという物議を醸す決定も下していた。

マスクは、昨年7月にトランプへの支持を表明した後にも、外国の指導者との会談や電話、さらにX上での交流を盛んに行っている。また、大統領選の直後の11月8日にマスクは、ウクライナのゼレンスキー大統領とトランプとの電話会談に同席したと報じられた。この会談でマスクは、同大統領にスターリンクがウクライナの戦争の遂行を引き続き支援すると約束したとされる。

中国との親密ぶり

彼はまた、トランプの就任式の直前の1月19日には、中国の韓正(ハン・ジョン)国家副主席と会談し、新華社通信によれば、韓副主席はマスクに対し、中国政府がテスラを含む米国企業が「機会をつかみ、中国の発展の果実を共有する」ことを歓迎すると述べたという。一方で、マスクは同副主席に対し、テスラが「中国への投資と協力を深める準備」ができていると伝えたとされる。

テスラの中国での売上高は、2019年12月に上海工場を開設して以降に、7倍以上に増加した。2024年には、全テスラ車の36.7%が中国の顧客によって購入され、同国はテスラにとって最大の市場となった。さらに、中国の安価な労働力とパーツは、テスラの営業利益率を押し上げ、同社の株価とマスクの資産を新たな高みに押し上げている。

さらに、欧州でも存在感を高めるマスクは、昨年12月にマクロン大統領がパリで開いたノートルダム大聖堂の再開式にトランプとともに出席した。フランスに滞在中、マスクはイタリアのジョルジャ・メローニ首相とも会談した。マスクは彼女と緊密な関係を築いており、イタリア政府は現在、スペースXと16億ドル(約2400億円)規模の通信契約について交渉中と報じられている。

マスクはまた、テスラがギガファクトリーを置くドイツにも強い関心を持っている。彼はドイツのショルツ首相を繰り返し批判する一方で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」への支持を促しており、1月に同党のアリス・ワイデル党首とX上で対談したほか、AfDのタウンホールミーティングにオンラインで参加した。

しかし、マスクのドイツでの取り組みはビジネス面で裏目に出ており、1月のテスラのドイツでの販売台数は前年比60%減だった。「政府の職を得たマスクは、もはや純粋な民間セクターの人間として振る舞うことを許されないが、彼はその事実を受け入れていない」とFOXニュースは報じた。マスクは、今のところ、なんでもやりたいようにやっている。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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