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アジア

2025.02.17 10:30

中国の監視システム、闇市場で個人情報の「密売」が横行 内部関係者が関与か

中国浙江省で学校の監視カメラを確認する警察。2023年8月31日撮影(Costfoto/NurPhoto via Getty Images)

中国浙江省で学校の監視カメラを確認する警察。2023年8月31日撮影(Costfoto/NurPhoto via Getty Images)

14億人を超える国民の活動を常時監視する中国の大規模な監視システムは、政府の支配を維持するために構築されてきた。同国では、顔認識カメラや人工知能(AI)、ビッグデータ分析といった最新技術が人民の日常生活に浸透しており、いかなる行動も政府の目から逃れられないと言ってよい。だが、この前代未聞の監視網に亀裂が生じている。システムの運営を担当する関係者がデータを悪用しているのだ。

暗黒世界を描くディストピア小説の筋書きのように思われるかもしれないが、中国の監視システムの内部にいる人間が、システムを悪用して利益を得る方法を見出したのだ。米IT誌ワイアードによると、膨大な個人情報の宝庫にアクセスできる特権を持つ政府職員や請負業者が、政府の監視システムから得たデータを闇市場で販売しているという。

国民のリアルタイムの位置情報や銀行口座の取引記録、パスポート(旅券)の写しといった個人情報が、メッセージアプリ「テレグラム」などを通して密売されている。こうした個人情報はわずか数百円で売られていることが多いが、包括性の高いデータは高値で取引され、売買の匿名性を確保するために暗号資産で支払われることが多い。

中国の監視体制は他国の追随を許さない。推定7億台以上のカメラが全国に設置されており、その多くが顔認識機能を備えているため、すべての公共の場が監視されていると言ってよい。メッセージアプリ「WeChat(微信)」や決済サービス「Alipay(支付宝)」など、毎日数百万人もの人々が利用する中国のモバイルアプリは政府のデータベースに直接結び付けられており、利用者の通信や取引、位置情報を追跡している。中国政府の統制の根幹を成す「社会信用システム」でさえ、国民の行動に基づいて報酬や罰則を与えるためにこうしたデータを利用しているのだ。
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翻訳・編集=安藤清香

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