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北米

2025.02.15 11:00

世界中で気候変動に関する「偽情報」が急増、国連も警鐘

Shutterstock.com

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インターネット上の気候変動に関する偽情報は、異常気象の増加とともに急速に増えている。

例えば昨年、米国南部を襲った大型ハリケーン「ミルトン」や「へリーン」をめぐる陰謀論には、当時のバイデン政権が地球の気候に直接介入する「気候工学(ジオエンジニアリング)」通じてハリケーンを作り出したとの主張が含まれており、人工知能(AI)で作成した被災地の偽写真なども広く拡散された。

また、今年初めに大規模な山火事がロサンゼルスを襲った際にも、一部で「水の汲み上げが禁止された」というデマや「カリフォルニア州のニューサム知事の魚を救うための取り組みが水不足を引き起こした」という誤った主張が広がった。

そんな中、環境保護団体のGlobal Witness は、新たなレポートで、「2025年にはさらに状況が悪化する可能性が高い」と指摘した。同団体は、その背景に気候変動対策に敵対的なトランプ政権の誕生や、メタが米国でのファクトチェックプログラムの終了を発表したことを挙げている。

Global Witnessによると、一部のメディアにとって気候変動に関する偽情報は、大きな収益源となっている。例えば、気候変動は自然現象であり、人間の活動によるものではないとの懐疑論を主張するニュースサイト「エポック・タイムズ(大紀元)」は、ここ1年で約150万ドル(約2億3000万円)の収益をグーグルとともに得ていたという。

「センセーショナルな気候関連のコンテンツの制作は迅速かつ容易になっており、生成AIの普及がそれを後押ししている。さらに、アドテクノロジーの活用で収益を増大させている」と、同団体の研究者は指摘している。

Global Witnessはまた、今年11月にブラジルで開催される国連気候変動枠組条約締約国会議(COP30)に向けても警鐘を鳴らしている。同団体によると、ブラジルの農業関連企業は、自らの環境破壊を否定する偽情報を流布しており、先住民コミュニティが土地を守ろうとする動きを阻止するための、組織的な嫌がらせやキャンペーンが展開される可能性があるという。

偽情報のリサーチ機関であるRipple ResearchとテキサスA&M大学が最近行った気候変動に関する偽情報の分析によると、最も多かった2つの主張は「気候変動対策は機能しない」と「気候科学は信頼できない」というものだった。
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編集=上田裕資

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