フランスがウクライナに供与を表明していたミラージュ2000-5戦闘機の第1陣がウクライナに到着した。フランスの請負業者はこの単座の超音速ジェット機を、やはりフランスがウクライナに供与しているSCALP(スカルプ)-EG巡航ミサイルなどを搭載できるように改修したとみられる。
ミラージュ2000-5の加入により、ウクライナ空軍は戦争が重大な局面を迎えている時期に深部打撃能力を強化できることになった。兵力の劣るウクライナ軍部隊がウクライナ東部で前線を維持するのに苦しむなか、空軍は重要な支援任務を担っている。ロシア軍の前線の調整を混乱させ、ウクライナ軍部隊が数的に劣勢でも戦えるようにすべく、ロシア軍の指揮所を狙って攻撃するという任務だ。
フランスのエマニュエル・マクロン大統領は昨年6月、フランス空軍で余剰になったミラージュ2000-5をウクライナに供与することを確約していた。ウクライナのパイロットと整備士らはフランスに渡り、短期間の集中訓練を受けた。そうして8カ月後、ミラージュ2000-5の第1陣とそのパイロット、整備士らの実戦準備が整った。到着数は未公表だが少なくとも2機、おそらく
3機とみられる。
フランスのセバスチャン・ルコルニュ軍事相は、ミラージュ2000-5は「ウクライナの空の防衛に参加することになる」と
述べている。
ミラージュ2000は西側諸国から順次届いているF-16戦闘機とともに、傷んだウクライナ空軍を補強・刷新していくことになる。ウクライナ空軍はこれまで主に、2022年2月にロシアが全面侵攻を始める前から就役していたか、もしくは倉庫に保管していた旧ソ連時代の軍用機でやりくりしてきた(編集注:ほかに支援諸国から計28機の旧ソ連製攻撃機・戦闘機を
供与されている)。
これらの旧式軍用機のうち、これまでに100機ほどがロシア軍の攻撃によって
失われた。戦争の4年目には、計85機を取得できる見込みのF-16と、十数機取得できるのかもしれないミラージュ2000-5が、残存している旧ソ連製機種を補っていくことになる(編集注:ウクライナ側はフランス側に12機のミラージュ2000-5の供与を求めたと報じられているが、フランス議会下院の
予算文書によれば当面は6機の供与にとどまるとみられる)。