「営利企業を経営しながら公職に就くというマスク氏の二重の役割は、重大な利益相反の懸念を引き起こすだけでなく、連邦法に違反する可能性もある」と、民主党のリチャード・ブルメンタール上院議員は、テスラの法務責任者に宛てた書簡で主張した。
同議員は、DOGEで働くテスラの職員の詳細や、マスクがテスラの取締役会に対しDOGEでの役割をどのように説明したのかなどの情報を求めている。また、過去12カ月間にテスラが受けた連邦契約の情報や、DOGEの活動を通じて同社が政府の情報を入手したかどうかについての説明を求めている。
米国民に広がる「マスクの不支持」
そんな中、マスクが公職に就くことに対する米国民の支持率は急落している。モーニング・コンサルトの最新の調査によると、回答者の46%が彼の役割を「支持しない」と回答し「支持する」は41%でトランプの就任時から10ポイント下落していた。深夜番組の司会者のスティーブン・コルベアは先日、マスクを「チェーンソーを持ったチンパンジー」と揶揄した。中国におけるテスラの成長が鈍化する中で、マスクは今後も中国政府に取り入る必要がある。テスラは、ここ5年間、成功した新モデルをリリースしておらず、中国でBYDのような地元の競合との競争に直面している。
「テスラが中国で価格競争力を持つ唯一の量産車は、2020年と2021年に発売されたモデル3とモデルYだけだが、それぞれ1回のマイナーチェンジを受けたに過ぎない」と上海を拠点とするコンサルティング会社Automobilityのビル・ルッソは指摘した。「一方、BYDはこの間に数多くのモデルやバリエーションを投入し、いくつもの新ブランドを立ち上げた」と彼は続けた。
ルッソの見立てが正しければ、テスラの中国市場での低迷は、同社の成長を信じてきた株主にとっては悪いニュースだ。しかし、テスラの中国への依存度が大幅に低下すれば、マスクが完全に中国に取り込まれてしまうという懸念は和らぐかもしれない。
(forbes.com 原文)