しかし、これらの特権は「対価をともなうものだ」と、元米陸軍中将のラッセル・オナレは述べている。「中国は基本的に何かを無償で与えることはない。中国市場に参入する企業は、共産党の要請に応じて情報を提供する義務がある」と、オナレは12月29日付のニューヨーク・タイムズの論説記事で指摘し、マスクを「国家安全保障上のリスク」と呼んだ。
「マスクは、テスラの事業や大統領への近さを通じて得た米国の機密情報を、中国に引き渡すよう求められる可能性がある」と彼は指摘した。
DOGEに対する「利益相反」の指摘
マスクが率いるDOGEは、ここ数日で連邦政府職員に対して退職勧奨を行い、2月6日時点で6万人がそれに応じたとされている。同機関はまた、数百万人の米国人の納税情報を入手し、財務省の決済システムにアクセスした。DOGEの取り組みを巡っては、マスクが自身の企業を監視する連邦機関を削減できる権限を持つことが、極めて不適切であり「政府の倫理基準に違反している」という非難の声が上がっている。それらの機関には、スペースXを管轄する連邦航空局(FAA)や、テスラを監督する国家道路交通安全局(NHTSA)、全米労働関係委員会(NLRB)などが含まれる。さらに、マスクは、政府の高官に課される利益相反を特定するための財務審査を回避している。
しかし、それにもかかわらず、彼には最高機密へのアクセス権が与えられたと、CNNは報じた。ホワイトハウスの当局者は2月3日、マスクが政権下で特別政府職員として正式に勤務すると発表した。彼は、この役職で政府のために年間130日以内の期間で勤務するが、報酬は支払われないという。
特別政府職員としてのマスクには、連邦政府の利益相反に関する法律が適用されるが、関係者によると、マスクは自身の利益相反の可能性について、第三者の監視を受けるのではなく、自主的に報告するよう求められるという。