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経済・社会

2025.01.31 08:15

【ダボスリポート7】「ダボス会議」閉幕。私たちに課された、包摂的で公平なAI活用という「宿題」

世界経済フォーラムの年次総会(通称「ダボス会議」)が1月24日に閉幕した。「インテリジェント時代における連携」をテーマにした今年のダボスには130カ国以上から政府首脳や企業のCEO、市民社会のリーダー、専門家など約3000人が参加した。

開催期間中に実施されたセッションやワークショップの数は約500にのぼり、多くの対話や調整が繰り広げられた。議題は経済成長から人材投資、気候変動対策、地政学的リスクまで多岐におよんだが、すべてのテーマに通底したキーワードをひとつ挙げるならやはりAI(人工知能)だろう。

今年のダボスの最後を飾ったセッション「世界経済の展望」(The Global Economic Outlook)では、パネリストたちに「2025年における成長の機会はなにか」という問いが投げかけられた。国際通貨基金(IMF)専務理事のクリスタリナ・ゲオルギエバは「自業自得を取り除く」というメッセージに続けて「AIが一部の人の特権であり、世界中の人々が利用できるものではないことを確認すること」を挙げた。

続けて発言した欧州中央銀行(ECB)総裁のクリスティーヌ・ラガルドも「AIの可能性と、AIがもたらす影響は非常に大きいと考えられる。私たちは、AIが世界の状況を改善し、私たち全員にとって良い方向に活用されるようにすべきだ」と提言した。この2人の発言は、AIがさらなる格差をもたらし得ることへの警鐘といえる。

ダボス会議の開催期間中、世界経済フォーラムからはAI関連のさまざまなリポートが出た。1月21日に発表された『インテリジェント時代の産業』(Industries in the Intelligent Age)シリーズでは、エネルギーや金融サービス、ヘルスケア、運輸、サプライチェーンなど9つの業界やセクターにおいてAIがどのような可能性を切り開き、革新的な役割を果たしうるのかを探究している。いわば産業別の「AIの教科書」だ。

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文/瀬戸久美子 写真/世界経済フォーラム

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