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経済・社会

2025.01.20 16:15

【ダボスリポート2】「仕事の未来」に備えて「スキル・ファースト戦略」を遂行せよ

2025年1月20日に始まった世界経済フォーラム第55回年次総会(通称「ダボス会議」)では、「インテリジェント時代における連携」というメーンテーマに加えて5つのサブテーマが設定されている。

そのひとつが「人材投資」だ。世界経済フォーラムが1月8日に発表した『仕事の未来レポート 2025』では、30 年までに全雇用のうち22%で仕事の「創造的破壊」が起こり9200万人分の雇用が失われる一方で、1億7000 万人分の新たな雇用が生まれるとの予測を打ち立てている。

人的資本という言葉がトレンド化した日本の経済界において、優秀な人材の確保と育成は喫緊の課題だ。同レポートでは、日本のビジネス変革の障壁として人々のスキルの格差や人材不足のほか、日本の組織に根強く残る「変化に対する抵抗」を挙げている。個人も組織も、旧態依然とした価値観とスキルのアップデートが不可欠だ。

複数のテクノロジーが相互作用しながら指数関数的に進化を遂げる「インテリジェント時代」において、政府や民間企業、教育機関はどのような戦略を打ち立て、どう連携しながら人材投資を進めるべきなのか。世界経済フォーラムで教育・スキル・ラーニングミッション部門長を務めるニール・アリソンに聞いた。


ニール・アリソン◎世界経済フォーラム ニューエコノミーとソサエティ 教育・スキル・ラーニングミッション部門長。ウィリアム・アンド・メアリー大学で歴史学の学士号、ハーバード大学でMPP(Master in Public Policy)を取得。ピアソンのグローバル・バイス・プレジデントなどを経て現職。

━━インテリジェント時代の到来は、私たちの仕事の未来をどう変えるのか。

AIやその他の新興テクノロジーは急速に進化し、新たな仕事を生み出し、既存の仕事をも変革している。日本のような先進国では、ほとんどの仕事がAIの影響を受ける可能性がある。

AIが最も大きなインパクトをもたらすのは既存の仕事の完全自動化ではなく、むしろ従来の仕事を補強するという部分だろう。AIを用いたツールを効果的に使うためには、労働者は新たな技術スキルを身につけ、AIをワークフローに組み込む方法を理解する必要がある。つまり、業界や分野を問わず、ほぼすべての人がインテリジェント時代に活躍できるよう、自分のスキルに投資する必要があるのだ。

━━特にスキル不足に直面している産業は。

テクノロジーやグリーン・トランスフォーメーション(GX)、人口動態の変化によって、ハイテク関連やヘルスケア、再生可能エネルギー、先進製造業などは大きなスキル不足に直面している。

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文/瀬戸久美子 写真/世界経済フォーラム

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