人材の流動性を高め、再就職を可能にするために、政府は人材開発プログラムへのアクセス性、柔軟性、対応性を向上させるための政策を採用すべきだ。
━━具体的には。
第一に、政府は、新たな仕事に移行する労働者への税制優遇措置や、転居や能力開発のための移動手当を通じて、企業や業界を超えたキャリア転換を支援することができる。また、キャリアカウンセリングやリスキリングプログラムをより広範に実施することで労働者のキャリアの移行をナビゲートし、新たな役割に備える機会を与えることができる。
第二に、スキル・ファースト戦略とスキルフレームワーク(特定の業務や役職において必要とされるスキルや能力を構造的に整理・分類したもの)を導入することで、労働者が業界の垣根を越えてスキルを移転しやすくすることができる。
スキル・ファースト戦略では、学位や経験年数、職種や特定の資格よりも、労働者のスキルの開発や認知、活用を優先する。諸外国と同様、日本の労働者は標準化されたスキルフレームワークがないがゆえに、しばしば業界を越えてスキルを移転するのに苦労している。
一方、雇用する側は新たな産業に関連するスキルを持つ人材を見つけるのに苦戦している。スキル・ファースト戦略は、これらの課題への対処法になる。このような政策を採用することで、労働者は異なる産業への移行が容易になり、労働市場のニーズの変化に迅速に対応できるようになるだろう。
━━今年のダボスでは、50を超える人材投資関連のセッションが予定されている。5日間の会合を通じて期待される成果はどのようなものか。
主に4つある。生涯学習と再教育へのコミットメント、スキル・ファースト戦略の統合、AIリテラシーのグローバルスタンダードの策定・推進、リーダー同士のコラボレーションの強化だ。
今年の年次総会の柱のひとつである人材投資は、人的資本開発の大幅な進展を後押しすることを目的としている。これには、経済的な機会へのより公平なアクセスを確保しつつ、生涯学習と再教育へのアクセスを拡大するために世界のリーダーたちのコミットメントを取り付け、リソースを動員することが含まれる。生涯学習とスキル・ファースト戦略をグローバルの優先事項と位置づけ、政府の政策とビジネス慣行の両方に組み込むことに焦点を当てる。
さらに、教育におけるAIリテラシーのグローバルスタンダードの開発を模索し、教育と学習を強化するためのAIの利用を促進するとともに、教育者が世界中の教室やカリキュラムにAIを効果的に組み込むために必要なスキルを身につけられるようにする。リーダーたちがさまざまなセクターや業界、考え方の人たちから学び、刺激を受けることで、セクターを越えて協力関係を築くために不可欠なつながりが育まれることを期待している。


