だが、光には影がつきものだ。世界経済フォーラムが1月13日に発表したリポート『グローバル・サイバーセキュリティ・アウトルック2025』では、新興技術の急速な成長や地政学的リスク、サプライチェーンの相互依存に潜む脆弱性、サイバースキルギャップの拡大などによってサイバー空間の複雑性が増していると指摘している。
サイバー攻撃の脅威に私たちはどう立ち向かうべきなのか。22日に行われたセッション「サイバーの複雑性を切り開く」(Cutting through Cyber Complexity)では、マレーシアのデジタル大臣、スペインのデジタル移行・公共サービス大臣、セキュリティベンダーDragosの共同創業者兼CEO、Zscalerの創業者兼CEO、ニューヨーク大学アブダビ校サイバーセキュリティセンターのディレクターが登壇し、サイバーセキュリティの向上に向けた取り組みと課題について意見を交わした。
なかでも議論が白熱したのはセッション終了前の5分間だ。「政府は政策を検討し、各セクターが成功するための方法を策定する必要がある」という声が上がったかと思えば、ビジネスサイドからは「政府が民間企業にああしろ、こうしろと言うべきではない」と、反論にも似た意見が出る。そこへ企業のトップが「多くのサイバーセキュリティ担当者が『これをしたい』という観点から取り組んでいるが、まず考えるべきことは『何を達成しようとしているのか』だ」と、原点に立ち返ることの必要性を訴える。
サイバーセキュリティの問題は複雑だ。一筋縄では到底、解決できない。改めてそう実感したセッションだった。