20年近くお世話になっている漢方の先生いわく、「年齢的にそろそろですよね」とのこと。やりたいこと、やらなくてはいけないことがたくさんあるのに体が追いつかない。不定愁訴が続くと思うように仕事が終わらず、焦りばかりが募ってくる。
世界経済フォーラムが1月20日に出したリポートによると、女性は男性に比べて不健康な状態で過ごす時間が25%長いという。今年のダボスで行われたセッション「女性の健康への投資」(Investing in Women's Health)では、開発途上国における男女の健康格差から更年期障害まで、女性にまつわるさまざまな健康問題について議論が繰り広げられた。
女性の健康は組織のパフォーマンスや経済成長にどのような影響を与えるのだろうか。また、男女の健康格差を解消するためには、どのような手段が考えられるのか。世界経済フォーラム「ヘルスとヘルスケア」部門長のシャイアム・ビシェンに話を聞いた。
シャイアム・ビシェン◎ヘルスケアの官民パートナーシップ、戦略開発、M&A、事業開発で25年以上のグローバルな経験を持つ。サウスカロライナ医科大学チャールストン校の助教授、民間企業、シアトルのビル&メリンダ・ゲイツ財団の地域/副ディレクターを経て世界経済フォーラムに勤務。
━━女性の健康は、組織のパフォーマンスや経済成長にどのように影響するのか。
女性の健康は組織やコミュニティ、国、そしてグローバルな経済成長に大きな影響を与える。2024年にマッキンゼー・ヘルス・インスティテュート(MHI)と共同で行った研究では、女性の健康に取り組み、男女間の健康格差を埋めることができれば、40年までに年間1兆ドルの経済効果をもたらす可能性があることがわかった。
1兆ドルというのは、多くの国のGDPを上回る非常に大きな金額だ。それほどに女性の健康状態は重要なテーマなのだ。私たちは健康格差に注意を払うだけでなく、女性特有の疾患に関する研究開発(R&D)と治療の両方に投資する必要がある。
私たちは24年にダボスで開催した年次総会で、ビル&メリンダ・ゲイツ財団と共同で「女性の健康のためのグローバルアライアンス」を立ち上げた。これにより、問題に対する認知度を高め、イノベーションやR&Dを促進する環境を構築することを目指している。
現在、R&D予算のうち、女性の健康に割り当てられているのはわずか2%だ。この状況を早急に改善したいと考えている。