「根源的世界観」と、「パートナーとの関係に対する満足度」の関係
「根源的世界観」が提唱されて以来、数多くの研究が行われてきた。こうした研究では、私たちが持つ最も基本的な世界観が、人の生き方(政治的見解や、心身のウェルビーイング、健康状態までが含まれる)にどう影響を与えているのか、という点が探求されてきた。しかし、世界観が恋愛関係に与える影響については、全体的に見てあまり研究が進んでいない状態だった。そこでメリーランド大学のエドワード・ルメイ教授は、この知識のギャップを埋めようと考えた。
ルメイ教授はサイポスト(PsyPost)のインタビューで、以下のように説明している。「ジェレミー・クリフトンが、同僚の研究者と共に、根源的世界観に関する研究結果を発表したのち、私は、この研究結果を親密な関係に応用することに熱意を傾けるようになった。そして、こうした世界観が、恋愛関係の質に影響を与えるかどうかを調べてみることにした」
ルメイ教授は、230組以上のカップルを1年間にわたって調査した。既婚、婚約中、交際中など、さまざまな状況にあるこれらのカップルは、毎日記入する日記という形で、パートナーとの関係、自身とパートナーのお互いに対する反応の在り方、そして自身の世界観について報告した。これをもとにルメイ教授は、パートナーとの関係に関するカップルの全体的な満足度に、根源的世界観が与える影響を評価した。
全体で見ると、調査の結果は明白だった。「この世は良いところだ」とする世界観を持つカップルは、パートナーとの関係についても、全体的な評価が大幅に高かったのだ。
具体的には、この世を良いところ、魅力的、あるいは自分に合った場所だと捉えていたカップルは、2人の関係についても満足度が高かったという。加えて、パートナーとの関係において、「目標を目指す」ことを支持する傾向が高かった。つまり彼らは、単に悪い結果を避けるだけでなく、望ましい結果に目を向ける形で、関係に向き合っているということだ。
ルメイ教授は、以下のように解説する。「ここから導き出される重要なポイントは、肯定的な世界観(具体的には、この世界は全体で見れば良いところで、魅力的だとする見方)が、相互にいたわり合う、満足感の高い恋愛関係を促進するということだ」
さらに、同教授はこう結論づけている。「これらの世界観にこのような効果があるのは、こうしたものの見方が、パートナーとの関係で追求したい目標を形作っているからだ。この世界を良いところで魅力的だと見ている人は、『目標を目指す』方法論を採用する。ここで言う目標とは、パートナーと楽しい時を過ごしたい、有意義な体験をしたい、相手との関係の中でつながりや親密度を高めたいなど、相手との関係で前向きな結果を得たいというものだ」