ジェフ・ベゾスの宇宙企業ブルーオリジンは1月16日、大型ロケット「ニューグレン」を初めて打ち上げ、宇宙空間の目標軌道に到達させた。同社は現在、イーロン・マスクのスペースXが支配している市場に参入するための重要なマイルストーンを達成した。
打ち上げは、米東部時間午前2時3分、ケープカナベラル宇宙軍基地から行われた。打ち上げから約13分後にロケットの2段目が軌道に到達した。
しかし、ブルーオリジンは再利用可能な1段目のブースターの回収という重要な目標を達成できなかった。ブースターは、大西洋上に浮かべた回収船に着陸する予定だったが、大気圏への再突入中に失われた。ニューグレンの打ち上げは、当初は13日に予定されていたが、ロケットの補助動力装置の配管に氷が形成されたため、中止されていた。
今回のロケットには、Blue Ring Pathfinder(ブルーリング・パスファインダー)と呼ばれる宇宙輸送プラットフォームの
プロトタイプが搭載され、無事に最終目標の軌道に到達した。順調に動作しており、データも受信できているという。
ベゾスは、週末のブルームバーグのインタビューで、ブルーオリジンとスペースXの競争について語った。彼は、宇宙産業には「複数の勝者」が存在できると述べ、「スペースXは、大きな成功を収めるだろうし、ブルーオリジンも成功する。そして、まだ創業すらされていない会社も成功するだろう」と付け加えている。
ニューグレンというロケットの名前は、米国初の有人地球周回に成功した元宇宙飛行士で元上院議員のジョン・グレンにちなんで名づけられている。
16日の打ち上げ以前にブルーオリジンは、より小型の「ニューシェパード」ロケットのみを使用して、乗客や貨物を宇宙空間の端に運んでいた。2021年7月には、ベゾス自身もこのロケットが打ち上げた「RSSファーストステップ」という宇宙船に乗り、高度100キロ以上の上空で約10分間のサブオービタル飛行を行った。
ニューグレンは数年にわたる遅延を経ており、当初は2024年10月の初の打ち上げで、NASAの火星探査ミッション「ESCAPADE」の探査機を打ち上げる予定だった。しかし、NASAは「打ち上げ準備のレビューとブルーオリジンとの協議」を経て、この打ち上げを2025年春に延期していた。
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forbes.com 原文)