機械学習と「予測AI」のパワー
このようなプロジェクトにおいて中心的な役割を果たすのが、機械学習のテクノロジーだ。実際の写真を用いた分析は、異なる距離やズーム、角度などの要素の影響で、正確な位置を割り出すのが困難だが、機械学習を用いたアプローチであれば、それぞれの要素に信頼度を割り当てることで、不確実性の大部分を除去できる。これにより、ほぼすべての被災地をカバーする正確なビジュアルを現場の作業員に提供できる。このアプローチは、山火事以外の自然災害にも適応可能だとラッセルは主張する。「このテクノロジーは、熱波や竜巻など、さまざまな気象災害の現場における救助や復興の取り組みに応用できる」と彼女は述べている。
機械学習を用いたこのアプローチは、予測AI(Predictive AI)と呼ばれており、災害関連だけでなくマーケティングや金融業界のリスク管理、物流分野など、あらゆる業界に適用可能だが、Bellwetherは、このアプローチを災害被害の軽減に活かそうとしている。具体的には、どの地域が最も多くの命を救えるかを予測し、支援活動を優先すべきエリアを特定したり、将来の災害の発生を事前に予測するというものだ。
「機械学習は、自然災害の予測分野に新たなパラダイムをもたらしている。例えば洪水の発生予測は、これまで、特定の地域に固有のデータを基にして行われてきたが、機械学習を用いれば、米国の東海岸のデータを用いて西海岸の洪水を予測することが可能になる」と、ラッセルは語った。
(forbes.com 原文)