カリフォルニアのギャビン・ニューサム州知事は、2022年に発生した大規模な山火事の後、将来の災害を軽減するための一連の新たな施策を発表していた。「私たちは、最先端のテクノロジーを用いて山火事と戦っており、AIなどのイノベーションを活用して脅威を迅速に特定し、すばやい対応を行なうための方法を模索している」とその当時ニューサム知事は述べていた。
この取り組みは、AIモデルに映像フィードを学習させて火災の兆候を検知するもので、消防チームにアラートを送って、火が燃え広がる前に消火活動を行なうというものだった。
しかし、今回のロサンゼルスの大規模な山火事で明らかになったように、天候が極端な場合は、このシステムが成果を上げるのは難しい。1月7日にロス近郊で発生したパシフィックパリセーズ火災は、時速160キロを超えるサンタアナ風によって勢いを増し、何千もの家屋を焼き尽くした。
「このような状況下では、火災が発生してから制御不能になるまでわずか60秒しかない場合もある」と、カリフォルニア大学ロサンゼルス校の気候科学者、ダニエル・スウェインはフォーブスに語った。
カリフォルニア州森林防火局(Cal Fire)は、2023年の夏以降にALERTCaliforniaと呼ばれる1100台以上の公開ビデオカメラのネットワークをAIシステムに活用してきた。このシステムはカリフォルニア大学サンディエゴ校によって開発・運用されている。このAIツールは、過去1年間で少なくとも1200件の火災を検知しており、そのうちの30%のケースでは従来の911通報よりも先に火災を検知したという。
しかし、専門家によると火災の早期発見が消火に役立つのは確かだが、今回の火災は、異常な強風と極度の乾燥した気候によって急激に拡大し、AIシステムが意味のある違いをもたらす前に手遅れになったという。