エヌビディア「NVIDIA Cosmos」を発表
特に、エヌビディアの発表が大きな関心を引いた。エヌビディアのCEO、ジェンスン・ファン氏は「ロボティクス分野における“ChatGPTの瞬間”がやってきた」と語り「フィジカルAI」という新たな概念を提唱し、自動運転車やロボットなど、物理的に人間社会と関わるAIの進化を示す「NVIDIA Cosmos」を発表した。このプラットフォームは、シミュレーション環境でのデータ生成を実現し、高精度な学習データが必要とされるAIエージェントの開発が大幅に加速されることが期待できる。さらに、エヌビディアはオープンソースコミュニティへの積極的な関与を表明し、GitHubやHugging Faceなどのプラットフォームを通じて、世界中の開発者がエヌビディアの技術を活用し、AIの進化に貢献できる道を紹介した。
CES 2025テックトレンド:AI、デジタル共存
さて、CES 2025の幕開けとなったメディア向けのテックトレンドセッションでは、「Tomorrow’s Tech 2025」をテーマに掲げ、2025年以降の生活や産業を形作る主要トピックが紹介された。まず取り上げられたのは、ジェネレーションZの消費行動である。世界人口の32%を占めるこの世代は、テクノロジーを積極的に取り入れるアーリーアダプターでありながら、サステナビリティにも敏感である。その購買行動は、自然エネルギーやリサイクルといった複数要素が重なることで大きく変わることが明らかになった。このようなジェネレーションZの特徴は、企業にとって大きな挑戦でもあり、いかにこの世代の価値観に寄り添った製品やサービスを提供できるかが鍵となる。
次に焦点が当てられたのは、ショッピングの未来である。AIを活用したパーソナライゼーションが進化を遂げ、米国では消費者の64%がオンラインショッピングでAIツールを活用しているというデータが示された。この動きは、より効率的で個人化された購買体験を提供することで、さらなる進化を続ける。一方で、企業側はプライバシーやデータ管理への配慮を怠らないことが重要であり、透明性のある技術運用が信頼を築く鍵となる。
「デジタル共存(Digital Coexistence)」というキーワードのもとでは、AIエージェント、デジタルツイン、ヒューマノイドロボットが取り上げられた。エヌビディアの「フィジカルAI」の発表はまさにその中核をつくものだ。
すでにOpenAIのFigure、Tesla Optimusといったプロジェクトが発表されているが、今後よりロボットなどフィジカルテクノロジーと人間の共存に関する議論や倫理問題などが増えてくることを予感させる。エネルギー分野では、無線給電技術やスマートホームの進化が、エネルギー効率の向上を可能にし、持続可能な社会を目指す新たな道筋を描き出している。
LGやSamsungが打ち出した「AIホーム」でも電力節約のためのAIが大きく語られていた。テックトレンドの中ではモビリティの進化にも言及が及ぶ。空飛ぶ車やバッテリーテクノロジーの進化が、新しい移動手段の未来を開いていく。
最後に、長寿社会を見据えたウェルビーイングテクノロジーが取り上げられ、健康管理デバイスやエイジテックの新たな展開が紹介された。エイジテックはCES 2025で中核に据えられていたので追って紹介する。