味覚系ソリューションでは、味の素とロボット開発企業ユカイ工学が共同で電気味覚技術を活用した製品を展示し、塩味の増加を感じさせるプロダクトも発表していた。偶然にもキリンと味の素という二大日本の食品関連企業が「味覚デバイス」を同時にCES展示し、注目を集めていたのでこの領域は日本の強みとして伸ばしていくことができるかもしれない。また、来年以降は他国も多くこの領域の製品を出してくると思うので競争力を維持していけるのかを日本としても応援していくのも大切ではないかと考える。


CES 2025は、多様なテクノロジーが交差し、未来を切り拓くビジョンを示す場であった。日本企業が取り組む新たな技術や挑戦は、多くの参加者にインスピレーションを与え、次なる行動を促す重要な契機となっている。
しかし、この期間中に思い出されたのが、HONDAのASIMOの挑戦である。ASIMOは時代を先取りした画期的な技術であったが、その価値が真に認識されるのはこれからではないか。この事実は、日本企業が時に「早すぎる挑戦」を行い、その成果が十分に活かされないまま終わってしまう現状を象徴している。
(注:CES 2025ホンダブースではASIMO OSが発表されたのでDNAは残っているが、ロボットとしての挑戦をここでは述べている。特にエヌビディアの「フィジカルAI」が発表されたことによりロボットとしてのASIMOが思い出されたのだ)
こうした「早すぎる挑戦」を克服するためには、未来を見据えた挑戦を持続可能な成長市場へとつなげる仕組みを強化する必要があるのではないか。
たとえば、今年のCESで注目を集めたキリンや味の素の「味覚デバイス」は、単なる個別企業の取り組みに留めるべきではない。味覚デバイスを日本の得意分野として位置づけ、さらにCESでも注目を集めているエイジテック分野のカトラリーデバイスへと応用する形で、画期的なソリューションを提供し続ける姿勢を示し、そのために、産官学が連携し、国内外での注目度を高める戦略を構築することなどを考えるのも重要ではないか?
また、エヌビディアをはじめとする多くの企業が採用している「オープンソース戦略」に学ぶべき点も多いと感じた。こうした戦略を味覚デバイスの開発にも適用し、エンジニアやクリエイターたちの叡智を集結させる仕組みを作ることが、新しい可能性を切り拓く鍵となるであろう。このオープンソース戦略に関しては、以前オードリー・タン氏の記事で触れた「アジア的テクノロジーの在り方」に関連して、改めて考察を深めたいと考えている。
今年のCESでは、多くの学びとともに、テクノロジーが我々の働き方や生き方を加速させている現実を実感した。その中で特筆すべきは、得られた学びを素早く行動に移す重要性が一層高まっているという点である。この文章を読んで「挑戦したい」「行動を起こしたい」と感じる者がいれば、ぜひ今すぐその一歩を踏み出してほしい。