エイジテック:拡大する新市場
今年は、エイジテック(AgeTech/高齢者向けテクノロジー)が存在感を増していた。エイジテック関連ソリューションをまとめて展示するAARP(全米退職者協会)は昨年以上に出展規模を拡大していた。今やエイジテックは北米でもホットなマーケットだ。AARPによると2030年までに約1200億ドル(約19兆円)規模の市場になると予測されている。エイジテック向けのキーワードとして「Aging in Place(自分の住みなれた住居や地域で暮らし続ける)」というキーワードも出てきた。高齢者の80%が現在、自宅での生活を支える何らかのテクノロジーを所有しており、半数以上がこれらのテクノロジーをさらに追加購入して活用する可能性も高い。
パナソニックの基調講演でもAARPとの協業が発表された。個別のエイジテック・プロダクトとしては、「フィジタル」で介護を受ける方も介護士も医療機関もつながる遠隔医療デバイス「Ōmcare Home Health Hub®」をCES初出展しており、日本のスタートアップ「DFree」も、トイレタイミング管理デバイスで存在感を示していた。

日本企業の挑戦
CES 2025の日本企業の存在感を私はポジティブに評価している。上述のパナソニックのAIビジネスイニシアチブ「Panasonic Go」の発表そして、OpenAIの元メンバーによって設立されたアメリカのAIスタートアップAnthropicの協業は、明確にパナソニックがAIビジネスに踏み込んでいくことを伝えた。また、トヨタは5年ぶりに豊田章男会長が登場し静岡県裾野の「Woven City」のフェーズ1完了を発表し、多様なコラボレーションの可能性を広げた。流暢な英語のプレゼンの途中ではテイラー・スイフトの真似をしてハートマークを作るなど、ユーモアと親しみやすさも披露していた。この親しみやすい一面が、威厳あるリーダーとしての印象を和らげると同時に、多くの参加者に好印象を与え、トヨタのセッションにはプレスからも常にポジティブな反応が寄せられていた。スズキは初出展ながら「小少軽短美」という企業ビジョンを中心に掲げ、スタートアップとの連携で新モビリティを提案しておりブース内のプレゼンは満員御礼の大盛況だった。


その他、AGC、キリン、コーセー、資生堂などがイノベーションアワードを受賞し、日本の技術力とソリューションを世界にアピールした。