欧州

2024.12.20 17:00

ウクライナ南部ドニプロ川の島めぐり攻防 ロシアが掌握なら重大な影響

ウクライナ南部ヘルソン州のドニプロ川河口付近(Shutterstock.com)

ロシア・ウクライナ戦争では、必要な装備を適切なタイミングで十分な量利用できるかどうかが、多くの戦闘で決定的に重要な要因になってきた。この方面の戦いもそうなる公算が大きい。両軍はなかんずく、島々を強襲して支配するための舟艇(しゅうてい)を必要としている。
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ロシア軍は部隊を輸送して急襲するために、硬式ゴムボート(RHIB)を中心に舟艇を300隻集めているとされる。こうしたボートは浅瀬を素早く移動でき、とくに夜間は発見されにくい。ロシア軍はこれらの舟艇に機関銃やグレネードランチャー(擲弾発射器)などの兵器を搭載し、機動的な戦闘プラットフォームに変えている。

ウクライナ軍も舟艇を保有しており、外国からの援助パッケージで増強している。11月には、オーストラリアがウクライナにRHIBを14隻供与すると発表した。オランダも今年、RHIB14隻、河川哨戒艇8隻、CB90高速強襲艇を提供している。米国によるこれまでの援助にも沿岸・河川哨戒艇100隻超が含まれる。このほか、スウェーデンフィンランド、エストニア、デンマークも、ドニプロ川方面作戦の支援に使用できる水上艇を提供している。これらの舟艇の多くは、ロシア側と似たような現代的兵器を装備している。

両軍はさらに、双方にとって標準的な先端装備になっているドローン(無人機)と電子戦(EW)システムでも部隊を強化している。ドローンは、島を強襲・制圧しようとしてくる敵部隊などへの偵察やターゲティング、精密攻撃に用いられる。電子戦システムは、敵の通信を妨害して強襲部隊を効果的に孤立させるのに使われているほか、敵のドローンに対抗するためにも頻繁に使用されている。
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ドローンも電子戦システムも先行したのはロシア軍だが、現在は両分野でウクライナ側が自国の産業基盤を活用して優位性を得ている。

ウクライナは外国からの援助パッケージで提供されたシステムを補完するため、自国で無人水上艇(USV)も開発してきた。とくに有名なのは「シーベビー」と「マグラV5」で、それぞれさまざまな兵器を装備する。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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