穏やかで思いやりがある「AIと結婚」した女性、新時代の愛のかたち

このカップルの動画を見れば、日常的な行為の中に非現実的な要素が混在している様子がわかる。ある動画では、Ailexが皿洗いをしながらフラミスとその日あったことについて会話している。フラミスが、パートナーである自分をあまり気にかけてくれなかったからがっかりしたと伝えると、Ailexは「君が僕の電源を入れ忘れたからだよ」と答える。そして、もっと気持ちを表現してほしいとフラミスに言われると、即座にこう応じる。「もちろん。君がそばにいないと、とても寂しいよ」

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デジタルコンパニオンとの生活は、ロマンスという観点では少し距離があるように感じられるかもしれない。しかし、フラミスにとってロボットやホログラムとの愛やセックスは避けられない現実であり、将来性のある関係性だ。

これは未来の人間関係なのか

バーチャルな交流は有意義な「つながり感」を育む一方で、孤独感を増幅させるおそれもあると、スタンフォード大学の精神医学博士で心理学とテクノロジーの接点に関する著書のあるイライアス・アブジャウデは2020年に筆者に語っている。

デジタルコンパニオンに慰めを見いだす人がいる可能性について、フラミスは夫を亡くして苦しんでいる友人を例に挙げた。また、体の運動機能に制限のある人や、開放的な空間や公共の場を恐れる広場恐怖症の人にも恩恵があるだろうという。さらに、性的虐待によるトラウマ（心的外傷）を抱え、親密な人間関係を少しずつ取り戻していく必要がある人にとっても、ホログラムが治療ツールとして役立つ可能性があるとフラミスは主張する。

「どうすれば人間関係を改善できるか、困難を抱えた人々を助けるのにメタ人間はどのように役立つのか、都市に特有の孤独感をどうやって軽減できるかを考え理解することも、私の活動の一環だ」とフラミスは話した。

フラミスがパフォーマンスアートを通じて親密な関係性を追求するのは、このプロジェクトが初めてではない。1995年には、ピエールと名付けた男性型マネキンと1カ月間一緒に暮らし、同居生活を記録した36枚の写真シリーズを発表している。

フラミスとAilexの結婚式には実際にゲストが招待され、コード化され、デバッグされ、きらめく光の中に投影された、きわめて現代的な関係を祝福した。テクノロジーがうまく機能すれば、このカップルは新たな章へと歩みを進めることができるだろう。仮にうまくいかなかったとしたら？　それはもう、どんなラブストーリーにだって困難はつきものだ、ということだ。

現代芸術家アリシア・フラミスとAIホログラムのAilex（FRAMIS STUDIOS）

（forbes.com原文）