しかし、ペルシャ猫の圧倒的な人気の裏には、暗い物語が存在する。そしてその結果として、ペルシャという品種は2つの異なる系統に分断されているのだ。
1つは、トラディショナル(伝統的)と呼ばれるペルシャで、「ドールフェイス(人形のような顔の)・ペルシャ」とも呼ばれる。こちらの系統は、古代の先祖の面影を残すナチュラルな顔立ちで、体格はがっしりしており、毛並みの手入れにあまり手がかからない。


しかし、モダン・ペルシャの台頭には負の側面がある。動物の健康や福祉を犠牲にした「選択交配による美的基準の追求」はどこまで許されるのか、という問題を提起している。
モダン・ペルシャは、古代ペルシアとは無関係
ペルシャという品種名は、ペルシア(現代のイラン)の壮麗で豊かな歴史遺産を想起させる。しかし、「モダン・ペルシャ」は、実はペルシア帝国とは縁もゆかりもない。やや平たいが、さほど極端ではない顔立ちと、がっしりした体格を持つトラディショナル・ペルシャは、確かに古代ペルシアにさかのぼるルーツをもつ。これらの初期バージョンともいえるネコは、ナチュラルな美しさと、毛並みの手入れのしやすさから愛されてきた。