サイエンス

2024.08.05 16:00

1894年、孤島に連れてこられた1匹の飼い猫 翌年には1鳥種が絶滅

Getty Images

SNSを見ている人なら、「ネコに夢中」な人たちの行動がどんなものかを知っているだろう。ネコ科の仲間たちを狡猾な支配者として描く冗談があるなか、ネコの歴史にはもっと暗い一面があることを知っている人は少ないだろう。物語に登場するのはニュージーランドの孤島の灯台守と、身ごもった愛猫「ティブルス」、そして飛べない鳥スチーブンイワサザイだ。

海上航行に不可欠なこの戦略的配置は、灯台の管理者が遠く離れた、しばしばアクセスできない場所に住まなければならないことを意味する。この重要な役割の孤独と単調さのために、多くの飼育員はペットと一緒にいることを求めるようになる。ペットは精神的な支えとなり、有害生物の駆除にも役立つ。

19世紀末、灯台守のデビッド・ライアルは、妻と息子と1匹のネコを連れてスティーブンズ島にやってきた。ニュージーランドのクック海峡に位置する孤島であるスティーブンズ島は、人間の活動がなかったため閉ざされた原始的な環境だった。熱心なアマチュア自然史家だったライアルは、そんな島に住むことへの期待に胸を膨らませた。彼は、その島に発見、研究すべき種がいくつか存在していることを知っていた。不幸なことに、ネコのティブルスを連れていったことが重大な過ちになることを彼は知らなかった。

スチーフンイワサザイの発見

19世紀、スティーブンズ島近くで何度かの海難事故が起きた後、ニュージーランドの海上保安当局は、周囲の危険な水域を航海する船員たちへの注意を喚起するために、灯台を設置することを決めた。当局は当時灯台守の助手で興奮していたライアルを指名し、ランプの芯を整え、火を明るく灯し続ける仕事を任せた。

ネコのティブルスも同じくらい興奮していた。彼女のネコとしての本能は、島に到着するやいなや発揮された。飼いなさられていても、ネコは野生だった祖先から受け継いだ捕食本能を維持している。その衝動は生き残りのためだけのものではない。ネコにとってハンティングは、遊びの一種でもあり、狩りの技術を磨くための自然な行動でもある。

ティブルスはスティーブンズ島で、思う存分本能を発揮する機会に富んだ環境を見つけた。哺乳類の捕食者に接したことのない在来種たちは、腕が立つティブルスに対する備えができておらずスチーフンイワサザイもその例に漏れなかった。
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