2. 人事的な判断のまずさ
昇進をめぐる判断は、将来性ではなく、過去の業績をもとに下されるケースが多い。組織は「ある分野での成功」が自動的に「リーダーシップの能力」に変換されると想定しがちであり、よい業績をあげた人に管理職の地位を授ける傾向がある。こうした過去重視のアプローチでは、感情的知能やリーダーシップ特性、リーダーをめざす意欲など、重要な要素が見落とされてしまう。その結果、リーダーとしての真の潜在能力を認められたから昇進するのではなく、その人への報酬として昇進が与えられることになる。
3. 潜在能力よりも社内政治がものを言う
企業によっては、昇進において功績よりも、社内政治のほうが大きな役割を果たすこともある。人脈づくりに長けた人や、組織内に強力な政治的コネをもつ人は、チームに刺激を与えたりやる気を引き出したりする能力とは関係なく、管理職につきやすい。こうしたアプローチは能力主義の原則を損ない、多くの場合、能力のない人が権力のある地位につくことになる。4. 適性よりも、慰留の手段として昇進させる
もう一つの犯しがちな過ちが、リーダーの地位を望んでいない、もしくはリーダーに適していない人物を、慰留の手段としてマネージャーに昇進させることだ。こうした近視眼的なアプローチは裏目に出るケースが多く、不幸なマネージャーと、不満を抱くチームを生んでしまう。有能な人材を引き留めたいのなら、組織は何が社員のやる気をかきたてるのかをしっかり理解し、必ずしも管理職とは関係のない「成長の機会」を提供する方法を模索する必要がある。