このパノラマ画像の撮影で、興味深い流水地形地域ともお別れだ。キュリオシティはすでに新たな目的地を見据えている。ボックスワーク地形の領域に向かう数カ月間の旅の始まりだ。火星周回軌道から撮影した画像には、水と浸食に関連する作用によって形成された可能性が高い、クモの巣のような地形が写っている。
トライポフォビア(集合体恐怖症)を抱える人は、この軌道からの画像によって症状を引き起こすかもしれないと、JPLは電子メールを通じて注意を促している。ハチの巣やヒマワリなどに見られる穴やブツブツの集合体に恐怖を感じる症状だ。
クモの巣状の模様が見られる火星のボックスワーク地形の領域を、NASAの周回探査機マーズ・リコネサンス・オービター(MRO)が2006年に撮影した白黒画像。NASAのキュリオシティ探査車の次の目的地(NASA/JPL-Caltech/University of Arizona)
ボックスワーク地形は地球でも見られ、洞窟や断崖に関連している場合が多い。火星のボックスワークは大規模で、約10~20kmの範囲に及んでいる。米ライス大学のキュリオシティ担当サイエンティストのキルステン・ジーバッハは「この細長い隆起部は、より温度が高く、液体の塩水が貫流していると思われる地下で結晶化した鉱物が含まれているだろう」と説明する。「初期の地球の微生物も同様の環境に生息していた可能性がある。そう考えれば、ここは探査すべき非常に興味深い場所の1つだ」
キュリオシティは、周回探査機では再現不可能な、ボックスワークを至近距離から観察する機会を科学者に提供するだろう。ゲディズ峡谷の硫黄のような、驚くべき発見がまたあるかもしれない。これこそが、火星に地上探査車を送り込む意義なのだ。何が見つかるかは、誰にもわからない。
(
forbes.com 原文)