宇宙

2024.11.15 16:00

最近、日没後の東の空に輝くひときわ明るい星 その正体は?

木星とその衛星を観察しよう

アマチュア惑星天文家にとって、衝は1年間の天文現象の中でも見逃せないイベントのひとつだ。現在、木星はおうし座を移動しており、「牡牛の目」の呼称で知られる赤色巨星アルデバランの左隣に輝いている。すぐ上には、美しい散開星団プレアデス星団(すばる)も見える。

米航空宇宙局(NASA)の探査機カッシーニが2000年12月1日に撮影した木星と衛星イオ(NASA/JPL/University of Arizona)

米航空宇宙局(NASA)の探査機カッシーニが2000年12月1日に撮影した木星と衛星イオ(NASA/JPL/University of Arizona)

小型望遠鏡で覗くと、ピンク色がかった雲の帯をまとった雄大な木星の姿を観察できる。もし望遠鏡がなくても、双眼鏡さえあれば、木星の4大衛星を見るには十分だ。衝の時期はこれらの衛星も最も大きく、最も明るく、最も近く見える。

イオ、エウロパ、ガニメデ、カリストの4つの衛星は、ガリレオ・ガリレイが自作の望遠鏡で発見したことから「ガリレオ衛星」と呼ばれている。ほぼ同じ平面上で木星の周りを回っているため、地球からは木星の両側あるいは片側に並んで見える。

米航空宇宙局(NASA)の無人探査機ボイジャー1号が1979年3月に撮影した、木星のガリレオ衛星こと(左上から右下へ)イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。イオとエウロパは月とほぼ同じ大きさ(NASA/JPL)

NASAの無人探査機ボイジャー1号が1979年3月に撮影した、木星のガリレオ衛星こと(左上から右下へ)イオ、エウロパ、ガニメデ、カリスト。イオとエウロパは月とほぼ同じ大きさ(NASA/JPL)

天空をさまよう「惑い星」

惑星は、他の星々と一緒に夜空を回っていかないように見えるため、昔の天文学者から「さまよう星」と呼ばれた。惑星の動きが恒星と異なるのは、太陽系のすべての惑星が、天球上における太陽の通り道である黄道の近くを運行しているからだ。

太陽系は平面状の構造をしており、地球を含む8個の惑星はすべて、ほぼ同一の平面(黄道面)に沿って公転している。そのため、惑星は常に黄道付近に見えるのだ。太陽が東の地平線から昇って西の地平線に沈むのと同じように、惑星も東から昇り、黄道に沿って南の空を横切って西へと沈む。

来月8日の木星の衝は、惑星ファンにとってすばらしい数カ月間の幕開けだ。

12月中旬には日没後の空で火星が赤く存在感を増し、木星とともに夜に彩りを添える。火星は年が明けた1月12日に地球に最接近し、17日に衝となるが、この頃にはマイナス1.4等の明るさに達する。その1カ月後には、「宵の明星」こと金星が夕方の西の空で最大光度を迎え、マイナス4.5等級の輝きを放つ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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