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2024.11.18 08:00

『原神』のゲーム会社miHoYo、共同創業者3人がそれぞれ中国長者番付入り

オープンワールドのアクションロールプレイングゲーム『原神』(DenPhotos / Shutterstock.com)

創業当初の同社は、資金調達に苦戦した。国営ニュースメディアThe Paperがおこなった2019年のインタビューで、劉は複数の大手ベンチャーキャピタルから出資を断られたと述べている。彼らは、投資家から「アニメよりもバトルゲームがプレイヤーに好まれる」と言われ、方向転換を促されたが、それを拒否した。「出資を受けて会社を続けたいと思ったが、自分たちのやりたいことを優先した」と、劉は当時を回想している。
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miHoYoのポテンシャルを最初に見抜いた投資家は、杭州に拠点を置くインターネット企業Sky-mobiの創業者の宋涛(ソン・タオ)で、2012年に15%の株式と引き換えに100万元(約2150万円)を投資した。miHoYoは、この資金を用いて『Fly Me 2 The Moon』をロールプレイングゲームの『崩壊』シリーズへと進化させ、アニメファンの支持を獲得した。2023年4月にリリースされた同シリーズの最新作の『崩壊:スターレイル』は、1億回以上ダウンロードされている。

生成AI導入への期待

一方、miHoYoはいくつかの課題にも直面している。2017年に同社は、少なくとも12億元(約260億円)の調達を目指して中国本土の証券取引所に新規株式公開(IPO)に向けた申請を行ったが、3年後にその申請を取り下げた。同社が申請を撤回した理由の1つは、ゲームのタイトル数が少なすぎるという投資家の懸念を受けてのことだったと報じられている。

また、直近ではmiHoYoは、中国のゲーム大手である網易(ネットイース)などの競合他社との激しい競争に直面している。同社が7月にリリースした最新作の『ゼンレスゾーンゼロ』は、中国App Storeの無料ロールプレイングゲームランキングで7月に21位に入ったが、10月には44位に沈んでいた。

しかし、ゲーム業界のアナリストは、miHoYoが他にも多くのタイトルを開発中で、そこにはSFをテーマにしたシューティングゲームや、他のプレイヤーとの交流を重視するタイトルが含まれていると考えている。また、同社は9月に「Glossa」と呼ばれる生成AIモデルの特許を中国の当局に申請したと報じられており、このAIモデルがゲームに導入されることが期待されている。
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「中国のような競争が激烈な市場では、他の開発者が二次元ゲームのトレンドを追うことは確実だ。miHoYoは、成熟したゲーム会社として他のジャンルに進出し、新たなゲームプレイを開発することを求められる」と、調査会社ブルーロータス・キャピタルアドバイザーの上海拠点のアナリストのスタン・ジャオは述べている。
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forbes.com 原文

編集=上田裕資

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