シャコは、甲殻類のシャコ目(Stomatopoda)に属し、現在250以上の種が知られている。世界各地の海域に多く生息し、体色は鮮やかで、玉虫色に輝くものもいる。
シャコは、警戒心が強いことで知られている。ほとんどの時間を巣穴に隠れて過ごし、穴から出てくるのは、エサを取るときや縄張りを守るときだけだ。
体長こそわずか10~20cmと小さいものの、シャコは恐ろしいハンターだ。捕獲に適した強力な捕脚を用いて、獲物を突き刺し、動けなくしてからバラバラに解体する。
シャコには、とてもユニークな特徴が3つある。これらは、地球上に生息する、ほぼすべての動物と異なる特徴だ。以下では、非常に興味深いこれら3つの能力を紹介しよう。これを読めば、彼らがなぜ、単なる「海底に生息する平凡な生物」ではないのかがわかるはずだ。
1. 並外れた視覚系──人間のがん診断にも応用可能か
シャコは、動物界の中でも、最も複雑で発達した視覚系を持っていると言っても過言ではない。ヒトの目は色を検知する際に赤、緑、青という3種類の光受容体に頼っている。一方、シャコは12~16種類の光受容体を持っている。このため、ヒトの目では見ることができない紫外線を含む、より広い周波数帯の光を検知することができる。我々ヒトの目と違い、シャコは複眼を持っている。これらの複眼は、眼柄(がんぺい)と呼ばれる組織で頭部とつながっており、シャコはこの眼柄を左右それぞれ能動的に動かせる。これによって、シャコはほぼ360度を見渡せる視界を確保している。さらに、それぞれの目は3つの領域に分かれていて、これにより、片目だけでも物体の奥行きを認識することができる。これは、他の動物には真似のできない高い能力だ。