「宿泊」そのものを豊かな経験に 光るアイデアでホテルの価値を更新
龍崎翔子|水星 代表取締役CEO/Creative Director東京大学在学中に起業し、富良野のペンション運営から母娘二人三脚で事業をスタートさせる。旅行中のホテル滞在という体験が、寝食を満たすだけではなくその土地や文化を媒介する「メディア」としてのホテル運営を掲げ、ブティックホテル「HOTEL SHE,」(京都・大阪)や、スモールラグジュアリーホテル「香林居」(金沢)など、個性豊かなホテルを次々と企画。
2020年にリリースした宿泊予約プラットフォームサービス「CHILLNN」では、各宿泊施設固有の魅力を発信し、加盟する全国約1000施設の運営もサポートしている。近年は、ホテルに滞在しながら演劇作品の世界に入り込む体験ができる「泊まれる演劇」や、産後ケアリゾート「HOTEL CAFUNE」など、日常生活圏内での選択肢になる「ライフデザインホテル」事業にも着手し、既存の観光ビジネスの枠を超えた事業展開でホテルという存在を革新し続けている。
「鮨×ワイン」のペアリングで唯一無二の存在感を放つ女性職人
幸後綿衣|鮨職人上智大学文学部ドイツ文学科在学中に鮨職人を志し、養成スクール「東京すしアカデミー」での学びを経て、四ツ谷の「すし匠」、「西麻布 拓」、銀座の「鮨あらい」などの名店で修業を重ねる。
古くは「男性より手の温度が高いから握った鮨の味が落ちる」などの偏見から女性が嫌厭され、今も男性が圧倒的多数を占める鮨職人の世界で研鑽を積み、2015年の開店当初から勤めた「鮨 あらい」では、個室の客前で鮨を握る店の2番手として活躍。行き届いた独自のもてなしが業界内外にファンをつくり、23年、麻布十番に「鮨 めい乃」を構えて独立した。名店で培った高い技術を下支えにして考え抜かれた鮨と、ワーキングホリデー制度を利用した渡仏経験で磨きをかけたソムリエとしての知識を生かして選んだワイン、2つの高度なペアリングが評判となり、瞬く間に予約の取れない人気店に。鮨業界の稀有な存在として新風を吹かせている。
クラシック技で仮想空間に立体感 挑み続ける“神童”ヴァイオリニスト
由良浩明|AREA35、SAFEHOUSE、WHISTLER代表取締役6歳で移住したオーストラリアでヴァイオリン奏者として頭角を現す。数々のコンクールで優勝し、ソリストとして国際的に活躍していた2003年、自身が主催したクラシック×ゲーム音楽の演奏会に手応えを感じ、翌04年にゲーム・アニメのサウンドトラック演奏に特化した世界初のプロオーケストラ「エミネンス交響楽団」を創設。アクションRPG「ディアブロIII」や長編アニメ映画「涼宮ハルヒの消失」など世界的人気を誇る日本作品で演奏を担当した。
10年に音楽制作会社WHISTLERを設立し、多くのゲームタイトルの音響を手がけたほか、今秋配信予定のNetflixアニメ「機動戦士ガンダム 復讐のレクイエム」ではアニメーションプロデューサーと音響監督を務めた。幼少期から鍛え抜いたクラシック音楽の技術と国内外の豊かな人脈を駆使して、日本のコンテンツを世界へ発信している。