地域で世界で活躍するカルチャープレナーたち

「ジャパン・ブルー」を世界へ アートを通じて古来の京藍染を再興

松崎 陸|京藍染師

大学卒業後、NYで日本の藍染「ジャパン・ブルー」に出合い藍染作家を志す。野村シルク博物館(愛媛県)での2年間の修業を経て、京都で200年以上続く染色工房「染司よしおか」の5代目当主・吉岡幸雄氏に師事。天然素材による染色技術や歴史を学ぶ過程で、輸入品の安価な化学染料の流入により廃れてしまった地元・京都原種の「京藍」を知り、その復興に取り組む。現在はアーティスト活動を主軸に、2023年には京都にある妙心寺 桂春院で初個展を開催し、掛軸作品「京藍壁観図」を奉納した。
Valextraのシンボルバッグ「Iside」 や「Micro Bucket」とコラボした京藍染作品。

Valextraのシンボルバッグ「Iside」 や「Micro Bucket」とコラボした京藍染作品。

今年2月のミラノファッションウィークではイタリアのラグジュアリーレザーブランドValextraとのコラボ作品を発表。作品制作や有名ブランドとのコラボなど伝統とアートを組み合わせる精力的な活動は「命の色で命をつつむ」というコンセプトのもと、自家栽培の素材を用いて色移りしない本物の「京藍」の次代継承に捧げている。

お菓子のサブスクで越境EC起業 一箱で届けるニッポンカルチャー

近本あゆみ|ICHIGO 代表取締役 CEO

新卒入社したリクルートを退職後、2015年に海外向け通販会社「movefast(現:ICHIGO)」を起業。「キットカット」や「ポッキー」など、国内ではすでに認知度の高い菓子メーカーの人気商品を1箱にまとめて定期配送する会員制サブスクボックスサービス「TOKYO TREAT」が米市場で支持され、創業からわずか6年で年商40億円に到達。
銀座で大量購入されていた「日本のお菓子」×当時米国で流行り始めていた「サブスク」 のアイデアが見事にヒット。

銀座で大量購入されていた「日本のお菓子」×当時米国で流行り始めていた「サブスク」 のアイデアが見事にヒット。

現在は老舗和菓子メーカーの和菓子や日本茶を詰め込んだ「SAKURACO」や、サンリオ、ジブリ、セーラームーンといった人気キャラクターの雑貨を扱う「YumeTwins」など、菓子にとどまらないさまざまな日本文化のサブスク型ECサービスを世界180カ国に向けて展開している。日本育ち・留学経験なしという経歴ながらも、従業員に海外出身者を積極的に登用することで、海外の消費者が求める「日本らしさ」を的確にとらえてビジネスを成功させている。

「無礼講の祭」の精神を継承 変化を恐れぬ踊りで熱狂を呼ぶ

米澤 渉|NEO阿波踊り集団「寶船 」リーダー/アプチーズ 代表取締役

幼少期より、徳島出身の父・米澤曜が東京・三鷹で発足させた阿波踊り連「寶船」に所属し、踊りと鳴物(楽器)の技術を磨く。徳島県発祥の伝統芸能である阿波踊りを世界のエンターテインメントにするべく、2012年に寶船の運営元として一般社団法人アプチーズ・エンタープライズを設立。
中米・コスタリカでの単独公演。 言葉の壁を越えて盛り上がるパフォーマンスに海外からもオファーが絶えない。

中米・コスタリカでの単独公演。 言葉の壁を越えて盛り上がるパフォーマンスに海外からもオファーが絶えない。

パフォーマー全員が赤い衣装をまとい、派手なメイクを施して激しく踊るという独自のスタイルで観客を沸かせ、アメリカ横断ツアーやインド・フランス・NY・香港など多数の海外公演も敢行。世界最大規模の日本見本市「Japan Expo Paris」では7年連続で大トリも務めるなど、現在までに世界25カ国で活動を展開してきた。今年4月には、マネジメント会社「アプチーズ」を設立し、第三者割当増資による資金調達を実施。スタートアップとしてさらなる事業拡大を見据えている。
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この記事は 「Forbes JAPAN 2024年11月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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