製品

2024.10.22 08:00

AirPodsが衰えた聴覚を支援 無料「ヒアリング補助」機能のインパクト

iOS 18とAirPods Pro 2のファームウェアのアップデートで「聴覚の健康」をサポートする新機能が追加される

「普通のイヤホン」が補聴器を使う煩雑さや抵抗感を和らげてくれる

補聴器として使えるワイヤレスイヤホンはそれほど目新しいものではない。筆者が以前に取材した国内メーカーの製品は、初めて補聴器を使う方も安心して選べるよう、製品に付属するオプションとして技能資格取得者によるオンラインサポートが提供できることを強みに打ち出している。一般的な補聴器の場合は最初のフィッティング以後、2〜3カ月くらいの調整を続けてユーザーの耳になじませる。そのためオンラインでのフィッティングサービスや、使用に関するガイダンスが大きな意味を持つのだと、当時筆者は取材の際に説明を受けた。ほかにも高価格帯で提供される補聴器の中には、ユーザーの耳に合わせた聞こえを調整するための有人サポートが付属する製品も少なくない。
advertisement

対するアップルのAirPods Proによる聴覚の健康をサポートする機能の大きなメリットは、3万円台のワイヤレスイヤホンで難聴の悩みを抱えるユーザーが気軽に試せるところにあると筆者は考える。ヒアリングチェックにより、自身の耳の聞こえ方に「気づき」を与えることにも大きな意味がある。本格的に機能の認知が拡大した時に、アップルがヒアリング補助を必要とするユーザーにどのようなサポートを提供できるのか注目したい。

「普通のイヤホン」を使う感覚で気軽に聞こえを改善できるところも、AirPods Proの新機能の魅力

「普通のイヤホン」を使う感覚で気軽に聞こえを改善できるところも、AirPods Proの新機能の魅力

AirPods Proは見た目に普通のワイヤレスイヤホンだ。補聴器を着けているように見えないことから、使用時の抵抗感が和らぐメリットもある。アップルが聴覚の健康をサポートする機能のソフトウェアについて管理医療機器の認証を取得したことはユーザーの安心にも結びつく。しかしながら当然のことだが、スマートデバイスとその画期的な機能に依存することは禁物だ。耳の聞こえ方に不調を実感したり、またはヒアリングチェックの結果が軽中等度の難聴レベルとして判定された際には専門医の診断を受けるべきだ。

厚生労働省によると、現在は年齢などにかかわらず日本国民全体の中で約10%にあたる1430万人が難聴を抱えながら生活しているという。イヤホンを装着した相手と対面して会話することに、まだ多くの人々が慣れていないと思う。AirPods Proの新機能が脚光を浴びることにより、ワイヤレスイヤホンが聞こえをサポートするスマートデバイスであることの認知も広がることを期待したい。
advertisement

連載:デジタル・トレンド・ハンズオン
過去記事はこちら>>

編集=安井克至

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事