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2024.10.19 14:15

現役慶大生が学友卒業生に取材、「慶應義塾幼稚舎」の受験事情と学舎生活

驚きの学舎生活 ——「幼稚舎マーチ」?


この厳しい入試を突破した先には、驚きの学校生活が待っている。

Aさんの話では、校庭には信号機があり、「幼稚舎マーチ」という行進曲に合わせて教室に戻るなど不思議な伝統があったという。また、創立者である福沢諭吉先生への信仰がとても強く、幼稚舎の伝統として「福沢諭吉ここにあり」という6番まである歌を覚えて歌っていたそうだ。

またBさんによれば、休み時間には宝石発掘のアクティビティが行われるなど、非常にユニークな取り組みも行われており、子どもたちを楽しませる工夫が随所に見られる。さらに、慶應信仰の強さでいうと、6年生で福沢諭吉の生涯について学ぶ授業があり、校長が直接教えてくれるそうだ。

同級生の中には、家にエレベーターがあり、庭でアメフトができるほどの広さを持つ家庭もあるという。

クラスはK、E、I、Oの4つ。6年間クラス替えナシ


幼稚舎では、K、E、I、Oの4つのクラスに分けられ、子どもたちと担任の先生は6年間同じクラスで過ごす。歴史的にはK組・O組が最初に作られ、その後にE組、最後にI組ができたのだという。幼稚舎の定員は(男子96人、女子48人、合計)144人。1クラスは36人。6年間過ごす仲間が6歳の時点で決まってしまうわけだ。

Aさんの話では、K組は活発で元気、芸能人・アスリートの親族が多い。E組は静かで落ち着いた雰囲気、I組は真面目で、O組は医者の家系が多いという傾向があるという。

このクラス分けは、単なる成績や性格だけでなく、先生の好みや学校内部の事情も反映されているのかもしれないとBさんは言っていた。クラスごとの個性がはっきりしている点も、幼稚舎ならではの特徴だ。

幼稚舎の子どもたちは、学校外でも多彩な習い事に取り組んでいる。Aさんによれば、体操、水泳、ゴルフ、乗馬、ホッケーといった運動系の習い事が特に人気だという。また、Bさんによれば、バイオリン、ピアノ、公文や英会話といった文化系の習い事や、毎年海外のサマーキャンプに参加するという家庭もあるという。中には「かけっこ教室」に通い、運動会でクラス代表になることを目指す子どももいる。

夢を追い、他大を受験するケースも——


慶應義塾幼稚舎には、エリートを育成するための特別な環境があり、日々の学びや習い事を通じて、多方面での才能を伸ばす機会を豊富に持っている。

一方、幼稚舎から大学まで続くエスカレーターから、自ら降りた友人もいる。医師になる夢を追うためだ。大学入学の権利は約束されているとはいえ、超難関「医学部」で内部進学するには激しい競争を勝ち抜かなければならない。そこで、医師の道を諦めず、他大へ進学するケースもある。小学生で約束されたエリート街道という、既存のルートにとらわれず進んでいく彼女らに多様性を感じる。




(※以上は現在、現役慶應大学の学生である慶應義塾幼稚舎出身者の記憶を元にしたものであり、現在の実情とは必ずしも沿わない場合がある)

取材・文=神谷果歩(Forbes JAPANスチューデント・エディター) 編集=石井節子

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