宇宙

2024.10.07 18:00

10月は2つの彗星が楽しめるかも 新たに発見された「アトラス彗星」が太陽系に接近中

新たに発見された彗星「C/2024 S1(ATLAS)」(撮影時の名称は「A11bP7I」)。2024年9月28日に南米チリで撮影(Exoplanetaryscience via Wikimedia / https://commons.wikimedia.org/wiki/File:C2024_S1_ATLAS.png)

新たに太陽系に接近する彗星を、米ハワイ大学が運用する小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)が発見した。折しも天体観測ファンや天文学者が、今月9日前後から日没後に肉眼で見えるようになるとみられる「紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)」の観測・撮影の準備に余念がない中でのことだ。

この新しい彗星は、当初「A11bP7I」の名称で呼ばれ、現在は「C/2024 S1(ATLAS)」(アトラス彗星)と命名されている。宇宙天気情報サイトSpaceweather.comによると、核が非常に大きく「10月末には肉眼で観測できる重要な天体になる」可能性があるという。

いつ、どこで、どう見える?

アトラス彗星(C/2024 S1)は10月23日に地球に最接近し、5日後の28日に近日点(太陽に最も近づく位置)を迎えると予想されている。このころが観測に最適な時期となりそうだ。

近日点を通過すれば、マイナス8.3等級の明るさで輝く可能性がある。これは太陽と月を除いて全天で最も明るい天体である金星より明るい。

観測チャンスは、以下の通りだ。

・10月24日~28日

南半球と赤道付近から、日の出前に最もよく見えるだろう。星空観察アプリのStar Walkによれば、彗星は太陽に近づいていくこの時期に明るさを増し、肉眼でも観測できるようになると期待されている。

・10月29日~31日

北半球から日没後に観測でき、日々太陽から遠ざかっていく。

ただし、彗星の予測は難しく、太陽に接近する際に崩壊するおそれがある。アトラス彗星について言えば、近日点の10月28日を無事超えられるかが焦点となる。この運命の日を生き延びられれば、非常に明るい天体として北半球のどこからでも見えるようになるはずだ。

アトラス彗星は、太陽系の外縁を取り囲む彗星の元天体(氷微惑星)の集まりである「オールトの雲」からやってきた長周期彗星で、今年9月27日に発見された。

まもなく再び見ごろを迎える紫金山・アトラス彗星

南米チリのセロトロロ汎米天文台の上空に輝く紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。2024年9月28日撮影(H.Stockebrand (hernanstockebrand.com)/NOIRLab/NSF/AURA)

南米チリのセロトロロ汎米天文台の上空に輝く紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)。2024年9月28日撮影(H.Stockebrand (hernanstockebrand.com)/NOIRLab/NSF/AURA)

今は見えない紫金山・アトラス彗星(C/2023 A3)は、9月27日にすでに近日点を通過しており、今月12日に地球に最接近する。その前夜か前々夜からは肉眼でも見えるほど明るく輝くとみられ、観測の好機となるだろう。

10月12日の紫金山・アトラス彗星は、北半球と赤道付近から日没後に最もよく見える。月としし座で最も明るい星レグルスが近くに輝いているはずだ。その後、10日ほどかけて地球から遠ざかり、徐々に暗くなっていく。

近日点をすでに通過した紫金山・アトラス彗星は、観測しやすいと考えられる。彗星と地球の位置関係がよく、彗星の尾がより多くの太陽光を地球の方向に反射する前方散乱と呼ばれる現象が起こる可能性が高い。

紫金山・アトラス彗星もオールトの雲からやってきた長周期彗星であり、軌道周期は約8万年。2023年1月に中国の紫金山天文台の天文学者によって初めて発見され、同2月に南アフリカのATLAS望遠鏡により再発見された。
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forbes.com 原文

翻訳・編集=荻原藤緒

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