課題はコストの高さ
同社のサプライチェーン担当のカーステン・アラヴィルは、現時点でこの素材が高価であることを認めている。「現段階においてこの繊維のコストは割高ですが、より多くのブランドがこの繊維を採用すれば、規模が拡大し、時間とともにコスト効率が向上すると信じています」と彼は語った。The Blanket Shirtは数量限定で販売されるが、アウターノウンは他の製品ラインにもケルサンを取り入れる方法を模索している。「この繊維はコットンと同じ肌ざわりになるように加工され、柔らかく軽量な素材になります。当社はまだ、研究開発の段階にありますがこの繊維を、ニットやセーターに組み込む方法も見つけています」とアラヴィルは語った。
海藻から生み出される繊維は、アパレル業界の理想の素材と言えるのかという質問に対し、キャラガンは、「その答えは少し複雑です」と回答した。コットンは天然由来の繊維だが、その栽培には水や農薬などの多くの資源が必要だ。一方、ポリエステルはマイクロプラスチックなどの問題を引き起こし、環境にダメージを与えている。そんな中、海藻ベースの繊維の利点は、より少ない資源で生産が可能で、有毒化学物質を含まないうえに、生分解性を持つことだとキャラガンは説明した。
ケルサンとコットンを用いて作られたThe Blanket Shirtは、100%の生分解性を備えている。海藻ベースの繊維は、アパレル企業がサーキュラリティ(循環型経済)の時代に向かうことを支援する。
キールラボは、天然繊維分野のイノベーションのためにこれまで約1800万ドル(約26億円)の資金を調達している。これは大きな額ではあるが、「他のハイテク企業の調達額と比べればわずかなものに過ぎません」とキャラガンは述べている。しかし、それでも同社は、テキスタイル産業に革命を起こし、有害物質を含まない生分解性繊維の選択肢を増やすことに希望を抱いている。
(forbes.com 原文)