経済・社会

2024.10.02 15:15

日本人旅行者にも朗報。遅延や欠航の返金補償法案提出で米国の航空業界が激変

返金保証が航空機の遅延率に繋がる!?

筆者もかつて、某大手米国航空会社でサンフランシスコから東京へ向かう便が長時間遅延し、最終的に欠航となった経験がある。その際、乗り換えをアレンジするスタッフが不足しており、長蛇の列ができ、自分の番が来て食事券を受け取った時には深夜になり、空港内のほとんどのレストランが閉まっていた。

また、宿泊券を受け取っても、シャトルバスがホテルを順番に回るため、自分のホテルに到着するまで1時間以上かかり、結果としてホテルでの滞在は2時間しか取れず、翌朝、再びサンフランシスコ空港へ戻るという苦い経験をしたことがあるが、これは珍しい話ではない。

航空業界の抵抗は強いものの、EUでは20年間にわたって新法案に類似した補償制度が存在しており、むしろアメリカは顧客寄りの政策が遅れているとも言える。

EUでは飛行距離に応じて275ドルから660ドルの返金補償が行われている。カナダ、インド、サウジアラビアなど複数の国でも、遅延補償規則がすでに実施または今年中に導入予定だという。

ホワイトハウスの経済政策担当特別補佐官、マイケル・ネグロン氏も「むしろわが国は遅れています」とコメントしており、ヨーロッパでの航空機の遅延率が低いのは、この制度が関係しているとも指摘している。つまり、ペナルティが存在することで、航空会社は遅延を防ぐためにメンテナンスを徹底するようになるというわけだ。

ところで、国内線や国際線を問わず、このところ荷物の重量制限がかなり厳しくなっているため注意が必要だ。

米国系航空会社は、これまで国情もあって日本のように厳密な重量制限をしていなかった。特に米国発の太平洋便では、数キロのオーバーは見逃されることが多かった(お土産をよく買う人にはありがたい)が、現在ではそうはいかない。

重量オーバーの荷物に対しては、超過料金の支払いを求められるようになり、多くの乗客はスーツケースを広げて重量調整を行うことを余儀なくされている。これは、地上スタッフの健康を守るためであり、航空会社が労働組合や健康保険の問題に対処するために厳しくなったという背景がある。

その結果、乗客は預け荷物の重量を軽くし、手荷物に重いものを詰め込む傾向が強まっている。しかし、手荷物の大きさは厳密にチェックされるようになったものの、重量制限(があるものの)援用されていないため、本末転倒な状況が続いている。頭上の荷物棚に荷物を持ち上げるのは自己責任であるため、持ち上げられない客が恥をかく場面もまま見受けられる。
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文=長野慶太

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