XRが大事になった時に、必要不可欠な技術ピース
もっとも、フェイスブックに代表されるように、利用者の属性や行動履歴に応じて広告を表示させることで成長してきた同社がAIに取り組むことに関して、批判的な声が従来からあったことは確かだ、Meta Platformsの視点ではやっていないことの証明はできない」と言いたいところだろうが、開発者コミュニティ全体がLlamaのプロジェクトと透明性のある関係を築け、オンプレミスを含む多様な実行環境を選べる。AIモデルの開発から実装まで多層的な安全対策アプローチを採用し、公開することで懸念に対する答えを用意している。一方でオープンソースでの開発は、AI技術の民主化という点で重要なポイントだ。では彼らはなぜ、ここまでしてAIに取り組んでいるのだろうか? SNSサービスやスマートグラスへの組み込みだけでは、その十分な説明にはならない。
おそらく、この先にあるのは同社が10年間取り組んでいるXR(クロスリアリティ)が大事になった時に、必要不可欠な技術ピースと捉えているからだと思う。
空間の中でコンピュータアプリケーションを動かし、それらを操り、必要なデータを揃え、構築していく上で、AIのサポートは必要不可欠なものになっていくからだ。
Meta Quest 3Sとメガネ型デバイス「Orion」
Meta Platformsはイベントで、299ドル(税込4万8400円〜)と手軽に購入できるMeta Quest 3Sを発表した(米国でのNintendo Switchと同じ価格)。このデバイスは昨年発表されたMRデバイスのQuest 3に近い体験を、安価な価格帯で提供するものだ。価格のハードルが大きく下がったことや、若年層へのVRデバイスの浸透などもあって北米では年末商戦の大きな目玉になると目されている。Questシリーズ向けのアプリも、コミュニケーションを中心としたゲームの『Gollira Tag』が1億ドルを超える売り上げを達成するなど、新たな普及の起爆剤となっている。
利用者とのインタラクションの経路が限定されるプラットフォームだけに、AIの活用で操作を軽くする技術は重要になってくる。
例えば昨年発表されたスマートグラスのRay-ban Meta Smartglassは、音声によるユーザー支援を受ける機能が実装されているが、今年はその機能をさらに拡張している。
目の前にある看板などに書かれている外国語を翻訳して音声で読み上げさせるなど、目の前にある情景をカメラで捕捉し、そこにAIを組み合わせてユーザーをサポートするアプローチを模索し始めているのだ。