ネクストホープ賞(30歳以下)受賞の2名
近年では退職者が増加している若手公務員。その環境下にあっても自ら行動し、地域に資するのが滑川市(富山県)の林和輝と、高砂市(兵庫県)の茅野裕也だ。林はビアマルシェを企画、開始・終了時間を早めに設定して差別化し、800人もの集客に成功。6割は市外からの来場者、周辺の飲食店マップを作成するなど、地域にお金が回る導線をつくった。また、若手の立場から公民連携の担当部署創設を提案し、今年中の創設にこぎつけた。
茅野は生活保護担当であるにもかかわらず、市の商工担当者を口説き落とし、中小企業庁、金融機関、そして地域を繋いだ商店街活性化チームを発足させる。マルシェを通じ大学、市の連携を進め、学生らと街の魅力発信に携わる。縦割り意識の強い役所の体制を変えるというのは若手でなくても簡単にできることではない。
「挑戦する公務員の価値」は上がり続ける
テクノロジーの進化によって遅かれ早かれ多くの作業は自動化されていく。新たな時代では、熱量をもって挑戦し、新たな価値を生み出す職員が求められる。これはビジネスの領域でも同様だろう。もし、挑戦する職員を増やすことができなければ、地方自治体はビジョンなく自動化されただけの、ひたすら無機質で画一的な装置へと向かっていく。それは、地方分権が目指した未来とは対極な世界だ。
そう考えると、これから求められる公務員の姿が自ずと見えてくる。進化のスピードが加速し続けることと同様に、今回アワードを受賞したような「挑戦する公務員の価値」も、さらに高まり続けるほかないのである。