政治

2024.09.20 15:15

日本に意外と多い?「もっと積極的に難民を受け入れるべき」の意見と複雑な背景

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また、「日本に来る難民の大多数は『偽装難民』である」という質問に対しては、「そう思う」と回答した日本人は47%(世界平均は61%)、「そう思わない」と回答した日本人は30%(世界平均は31%)と、世界平均よりもむしろ若干難民寄りの回答をしている。
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さらに興味深いのが、「難民に関する情報を主にどこから得ますか?」という質問に対して、ソーシャル・メディアと回答した日本人は 19%と、韓国の18%に次いで52カ国中で2番目に低く、世界平均の45%を大きく下回った。

ただし関連した質問で、難民に関する情報源として、新聞やテレビなどの一般的メディア、ソーシャル・メディア、上記以外のインターネット、家族や友人、政治家、地域の指導者、先生・学者などの選択肢がある中で、「そのいずれでもない」または「分からない」とした日本人の割合は合計で32%に上り、これも世界52カ国中で断トツに高かった。

さらに「どのメディアから得る難民に関する情報を最も信頼しますか?」という質問に対しても、上記と同じ選択肢がある中、「そのいずれでもない」または「分からない」とした日本人の割合は合計で37%にも及び、こちらも世界52カ国中、断トツトップとなった。
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そして、「過去12カ月の間に、難民のために何かしましたか?」という質問に対して、「何もしなかった」と回答した日本人の割合は91%と、世界平均の62%を大きく上回り世界で最高となった。この結果は、例年続いてみられる傾向である。

最後に、例年続いてみられる日本の回答者のもう一つの特徴として、ほとんどの設問において、「わからない・無回答・どちらでもない」という主旨の回答をした人の割合が、世界52カ国のうち日本が顕著に高い、という傾向が一貫して読み取れる。

これらの結果をあえて大まかにまとめるなら、日本人の多くは、もっと積極的に難民を受入れなければいけないことは分かっているが、難民は日本には馴染めないだろうし、ソーシャル・メディアなどで流れる情報は信頼できないので、よくわからない、だから難民について一切行動していない、と解釈することができる。

この結果は、よく言われるような「日本人は難民に対して冷たく、排他的、排外主義的」という言説とはいささか異なる様相を呈している。「知らないこと、よく分からないことには手を出せない」という、ある意味では当たり前の反応なのかもしれない。

であるならば、難民受け入れとは何なのか、どう向きあえるのか、今後日本がどうしていくべきなのかを議論する前に、とにかく難民とはどういう人のことを言うのか、どういう受入れ方があるのか、実際に受け入れるとどういう影響があるのかについてまずは「知る」ことが重要な第一歩なのではなかろうか。

このような日本の現状に一石を投じるため、手前みそではあるが、今年の6月20日「世界難民の日」に、拙著『なぜ難民を受け入れるのか 人道と国益の交差点』を岩波新書から出版した。難民に特化した岩波新書は実に34年ぶりの刊行である。今まで必ずしも難民「問題」に関心が無かった方々、どちらかと言えば消極派を主な読者層として想定し、難民の定義、世界における難民の様々な受入れ方法、日本の難民政策の変遷、難民受け入れに伴う弊害と一般的にとらえられがちな犯罪や財政負担の問題、そして北欧諸国における昨今の傾向など、基礎的なことから世界全体の最新情報まで、できる限りわかりやすくまとめたつもりである。

文=橋本直子

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