政治

2024.09.20 15:15

日本に意外と多い?「もっと積極的に難民を受け入れるべき」の意見と複雑な背景

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日本はよく難民受け入れに消極的・閉鎖的であると批判される。ところが実態は、それほど単純ではないことを示唆する調査結果が今年発表された。
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結論から言えば、日本人*1には、「日本はもっと積極的に難民を受け入れるべきであることは分かっているが、難民は日本には馴染めないだろうし、ソーシャル・メディアなどで流れる情報は信頼できないので、よくわからない、だから難民について全く行動していない」という傾向があることを読み取ることができる。

どういうことか、データと共に解説してみたい。


グローバル・マーケティング・リサーチ会社のイプソス(本社パリ)が2017年から毎年、難民に対する世界の態度や意識について国際比較調査を実施し、6月20日の「世界難民の日」にあわせて結果を発表している。2024年版は、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)と共同で、日本を含む世界52カ国、合計3万3197人の成人を対象に調査が行われ、日本では約1000人が参加した。
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より詳しくはこちらのリンクを参照して頂きたいが、その世界平均と日本の結果を比較考察すると、日本の難民に対する一般的な態度や意識について興味深い輪郭が浮かび上がってくる。

まず、「迫害や戦争を逃れる人は、貴方の国(日本)を含む他国で保護されるべきだと思いますか?」という質問に対して、「はい」と答えた日本人は 67%であり、世界平均は73%だ。一方、「いいえ」と答えた日本人は22%(世界平均21%)で、「わからない・どちらでもない・無回答」は、日本は11%(世界平均6%)となった。

これを見ると、日本の回答結果は世界平均とほぼ同じで、例えばポーランドやトルコ、韓国と比べるとずっと肯定的である。

また、「他国と比較して、日本への難民の受入れは十分だと思いますか?」という質問に対して、「十分過ぎる」と答えた日本人の割合は52カ国中最下位の16%、世界平均は49%だ。「ちょうど良い程度」と答えた日本人は20%(世界平均23%)で、「少なすぎる」と答えた日本人は31%(世界平均14%)であり、日本への難民受け入れが不十分であることをしっかり認識できていることが分かる。

ではなぜ日本への難民の受入れが少ないかを探っていくと、意外な傾向が見えてくる。

「日本に来る難民は日本社会に馴染むことができると思いますか?」という質問に対して、「はい」と答えた日本人は22%でトルコと並んで世界最下位だった。また、「日本の文化や生活様式に難民はどのような影響を与えると思いますか?」という質問に対して、「良い影響」と答えた日本人は12%で、トルコに次いで世界で2番目に低く(世界平均31%)、「悪い影響」と答えた日本人は36%(トルコは世界断トツの76%)、「いずれの影響も与えない」と答えた日本人は28%で、世界平均と同じとなった。

なおトルコについては、過去10年間にシリア等から非常に多くの(避)難民を受け入れており、2023年末時点でも約320万人を抱えていることを想起されたい。

さらに「難民は日本の治安にどのような影響を与えると思いますか?」という質問については、「悪い影響」と答えた日本人は39%(世界平均は41%)と日本における回答の内訳としてはもっとも多く、次いで「いずれの影響も与えない」と答えた日本人は26%(世界平均は25%)と、世界平均からそれほど乖離していない。ただし「わからない」あるいは「無回答」の割合が27%と、他国より明らかに高く、難民が日本の治安を著しく悪化させているわけではない、という実態(文末の拙著を参照)を必ずしも把握できていないことが読み取れる。

*1 イプソス調査では、回答者の国籍は明らかになっておらず、報告書では「日本にいる回答者」という表現になっている。

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文=橋本直子

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