海外

2024.09.20 17:45

豪5兆円企業Canvaは、なぜ社員の「ランチタイム」を大切にするのか

無料の昼食が食べられるシドニー本社の屋上テラス。屋上からの眺めと賑やかな人声、開放的な雰囲気でパーティにいるような気分になるが、食事を終えた人は波が引くようにオフィスに戻っていく。

勢いはとどまるところを知らない。フィリピン、中国、米国、英国、ニュージーランド、オーストリア、チェコと拡大してきて、今年は日本法人を設立。サービス対象は190カ国に広がり、対応言語は100を超える。Canvaのプラットフォームを使って作成されたデザインは250億件以上にのぼる。
advertisement

「Canva Create」は、新機能の発表や製品ワークショップ、共同創業者の3人が登壇するセッションなどが行われる世界最大級のクリエイティブイベント。2024年はロサンゼルスのハリウッドパークで開催された。

「Canva Create」は、新機能の発表や製品ワークショップ、共同創業者の3人が登壇するセッションなどが行われる世界最大級のクリエイティブイベント。2024年はロサンゼルスのハリウッドパークで開催された。

社員数も急増している。毎週2桁の数の積極採用を続け、1年前に4000人に達したが、早くも5000人に届きそうな勢いだ。Canvaには、出身も専門領域も多様な社員が集まっているが、さらに多様な人材を取り入れるため、評価の公平性を追求し、数年前に採用における学歴要件を廃止した。

流刑植民地だったオーストラリア。すべての人が平等かつ公平(Fair)に扱われるべきだとする「Fair Go」の精神は、オーストラリア社会を支える大きな柱だ。年齢や役職、経験などによる上下関係をあまり意識せず、フラットな関係を構築する傾向がある。Canvaが学歴不問としたのは、その精神の表れかもしれない。

「ポジティブな行動、包括性、多様性により、より素晴らしい世界を」と呼びかけるCanva。誰であろうと互いに違いと強みを認め合い、対等な立場で共に成長していこうとする姿は実にオーストラリア的であり、世界という多様性の塊を相手にさらに輝きを増していきそうだ。
advertisement

地域社会とのつながりを目的に、2022年に本社ビル1階にオープンした「Canva Space」。社員が地元のNPOとともに行っている慈善活動の拠点になっており、午後3時からは主催イベントの会場になる。Canvaが場所とケータリングを無償提供しており、Canva製品の使い方講座を開くことも。午後3時までは、一般の人も利用できるカフェとして営業。店の利益は全額、Spaceの運営資金にあてられる。

地域社会とのつながりを目的に、2022年に本社ビル1階にオープンした「Canva Space」。社員が地元のNPOとともに行っている慈善活動の拠点になっており、午後3時からは主催イベントの会場になる。Canvaが場所とケータリングを無償提供しており、Canva製品の使い方講座を開くことも。午後3時までは、一般の人も利用できるカフェとして営業。店の利益は全額、Spaceの運営資金にあてられる。


キャンバ◎デザインを通じて世界をより良くしたいと、メラニー・パーキンスと夫のクリフ・オブレヒト、キャメロン・アダムスの3人がオーストラリアのパースで創業。2013年、シドニーに本社を設立。全世界を市場と捉え、多様な人材を積極採用している。社員数は15年当時50人だったが、19年に500人、事業が急拡大した23年には4000人を超えた。

文=平林純子 写真=佐々木 康

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事