さらに、ワイン業界は、土壌劣化や気候変動という課題を抱えるだけでなく、
若い世代の消費減退や
ブドウ栽培の余剰という逆風にもさらされています。そこで、リセットの役割を果たすのが、再生可能なブドウ栽培です。同じ若い世代の消費者は、バルクワインよりもプレミアムワインを選ぶ傾向があり、
本物志向や持続可能性といった価値観に沿った製品やブランドにお金を使うからです。
また、ワイン生産者が衆知から学べるよう、いくつかの組織も設立。コアリションである
The Regenerative Viticulture Foundation(環境再生型ブドウ栽培財団)は、研究やリソースの保管庫として成長を続けています。また、
Regenerative Organic Alliance(リジェネレイティブ・オーガニック・アライアンス)は、農業会社を世界的に認証する組織であり、
2020年にタブラス・クリークが初の認証ワイナリーとなりました。それ以降、成長は勢いを増し、2022年に50万エーカーのブドウ畑を認証。2023年にはその面積が
600万エーカーに拡大しました。
再生可能なブドウ栽培における大きな特徴のひとつは、決まった方法ではなく、柔軟なアプローチの提供にあります。ワイン生産者が今いる場所で、その土地の地理に適応し、野心的かつ長期的なビジョンのために漸進的な進歩を遂げることを目指しているのです。
世界のワイン産業はおよそ
3000億ドル規模であり、世界の農業のほんの一部に過ぎません。一方で、消費者を結びつけ、新たな会話を始め、意識を高めることができるという点で、ワイン産業はユニークな存在です。再生型のブドウ栽培は、ワイン業界を変えるだけでなく、より広い農業の手本となることができ、
Regenerative Organic Alliance(リジェネレイティブ・オーガニック・アライアンス)のモットーを拝借すると、すべての生産者に「
世界の運命がかかっているような農業」を奨励する可能性を秘めています。
(この記事は、世界経済フォーラムの
Agendaから転載したものです)
連載:世界が直面する課題の解決方法
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